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ハットトリック? 〜選手入場?〜
【大人 恋愛小説】

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ハットトリック? 〜選手入場?〜-1

10年ぶりに帰ってきた故郷は大分様変わりしてしまっていた。
電車に乗っているときにも見えていたビル群が目の前に立ち塞がるようにそびえている。
「本当にずいぶん変わっちゃったなー。」
辺りの景色を見渡しながら思わず呟いてしまう。
駅の出入り口近くでそんなことをやっていると目の前に一台の車が停まった。
その車のドアを開け荷物を後部座席に置くと自分は助手席へと乗り込む。
「久しぶり、父さん。迎え悪かったね。」
車に乗るとすぐに運転席に座る男性、父へと声を掛けた。
父はそんなことはいい、とでも言うように片腕を上げて答える。
「ここまで来るので疲れただろう?」
「そうでもないよ。飛行機の中ではちゃんと休めたし、
電車に乗ってからも外の景色を眺めてるだけで楽しかったから。
やっぱり10年も経つと大分変わってて新鮮だった。」
「そうだな。こんな田舎にもビルが建つくらいだからな。」
電話やメールでのやり取りはしていたものの、実際に顔を合わせての会話は本当に久しぶりなのでなんでもないような話でも盛り上がる。
僕の名前は山本 宏(ヤマモト ヒロシ)。職業は現在無職。
去年まではヨーロッパにあるサッカーチームに所属していたのだが、クビになってしまった。
そのため新しいクラブチームを探したがどのクラブの入団テストにも受からなかった。
幸いにも1、2年は暮らしていけるだけの貯えは何とか有ったのでヨーロッパを去り日本へと帰る決心をしたのだ。
解雇から5日後、飛行機で日本へと向かい電車に揺られ今懐かしの地を走る車の中にいるわけである。

ガラガラガラ―
「ただいまー。」
10年ぶりに我が家の敷居を跨ぎ帰宅する。すると居間の方から足音がしたかと思うと見知らぬ女性が姿を現した。
一言で言うなら美人。綺麗でいて可愛さも残している。
「お帰りなさい。」
エプロン姿のその女性は笑顔で言葉を掛けてくれたが、なぜこんな女性が我が家にいるのかわからずに驚きと混乱で玄関に立ち尽くしたままになってしまった。
「?・・・どうしたの?」
そんな僕に不思議そうに声を掛けてくれたとき、
ガラガラガラ―
玄関が開き、車を停めに行った父が僕の荷物を持ち中へ入ってきた。
玄関に立ち尽くす僕を見ると、
「何やってるんだお前は?」
「えっ?あ、いや・・・その・・・」
「お帰りなさい、おじさん。」
「ああ、ただいま。宏、昔と部屋は変わって無いから荷物を運んどけ。俺はもう疲れた。」
「あっ、はい。わかりました・・・」
父は何度か腰を軽く叩くと大きく伸びをして居間へと姿を消した。
「もすぐご飯が出来るから早く運んじゃおう?私も手伝うから。」
居間の方に顔を向けてボーっとしていると女性に声を掛けられた。
顔を動かすと両手を使って大きな荷物を持ち上げて2階にある部屋に運ぼうと階段を上ろうとしている。
「は、はい。」
まだ靴も脱いでいない状態だったのを思い出し慌てて靴を脱ぐと、残りの荷物を持って彼女の後に続いて階段を上った。


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