金縛り-1
確かにその夜は暑かった。
夕方まで降り続いていた雨がすっかり止んだとはいえ、かなりの湿度である。
それでもエアコンをかけ続けていれば問題はないのだが、泉は元来お腹が弱い体質で、一晩中エアコンをつけっぱなしで寝ると、翌日は大変なことになる。
だから、2時間後にオフになるようタイマーをセットして眠ったのだが、こうして夜中に目が覚めてしまったのは、この熱帯夜のせいだと思っていた。
「あつー……」
小さく声を出すもその声は掠れており、泉の全身はしっとりと汗ばんでいた。
エアコンというものは、その運転を止めた途端に暑さが戻る。
だから、今の時刻はちょうどエアコンのタイマーが切れた頃ーー夜中の2時くらいだろう。
とにかく汗ばんだ身体が不快でたまらない。
夏用の冷感シーツなるものを使っているのだが、この熱帯夜では焼け石に水であった。
とにかくこの火照った身体を冷やそうと、エアコンのリモコンに手を伸ばしかけた所で、泉は自身の異変に気付いた。