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真夏の悪夢
【レイプ 官能小説】

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エピローグ-1


事件によって好奇の目に晒された浅野家は全てを売り払い、江戸川区K町から、知り合いも誰もいない大田区蒲田に引っ越した。しかし、小枝子が受けた肉体的、精神的ショックはあまりにも大きく、高校を中退、就職も諦め、家に引きこもっていた。

「小枝子、ご飯にしようか」
「お母さん、死にたい」
「バカなことを言うんじゃないよ」
「だって」

絶対に忘れることは出来ない。日々、泣いて暮らす小枝子だったが、刑務所に祖父を訪ねて行く時だけが、唯一の楽しみだった。

そして、祖父が出所すると、祖父の知り合いの招きで、千葉県館山市に祖父母と一緒に移り住み、そこで祖父に習い、竹細工を学んだ。

「へえ、女の職人がいるのか」

腕を上がると、こんな評判が立つこともあったが、作品には「浅野竹工芸」とのみ記し、名前は出さず、まして表に出ることなど絶対になかった。

近隣の小学生に竹細工を教えることを楽しみとし、一生涯独身を貫いた。

一昨年、健康診断で癌が見つかり、治療を受けていたが、残念ながら昨年の暮れから容態が急変し、年が明けて間もなく亡くなった。

妹、朋子の長男が後を継ぐことになった工房には、彼女が残した竹の籠やざるが残っている。

合掌。

                                     (了)


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