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真夏の悪夢
【レイプ 官能小説】

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第四章 警察-3


「どうでしたか?」
「慎重に取り扱えだとよ。バカも程々にしろってんだ」

課長は憤懣やる方ないといった感じだったが、部下か「どうするんですか?」と迫られると、「バカ野郎、お前たちは悪い奴を許せるのかよ!」と湯飲み茶わんを投げ捨てた。

圧力は警察にだけではなかった。

「娘さんの具合はどうかね」
「あ、町会長さん」
「お見舞いを預かってきたよ」
「いや、これはどういうことですか?」
「ははは、深く考えずに、収めておきなさい」
「いえ、謂れのないお金は受け取れません」
「そんなに意固地になるとよくないぞ」
「何が意固地ですか。こっちは娘を傷つけられたんですよ」
「よく考えるんだな」

最初はこれで終わったが、「化粧ばかりしてだらしのない娘だった」、「どっちが誘ったか分らない」、終いには「処女じゃなかった」など、聞くに堪えない噂話まで立てられ、どうにもならないところまで追い込まれてしまった。

そして、件の区議会議員が現れ、「刑事事件になれば、裁判では嫌なことまで洗いざらい新聞にも書かれる。先方も見舞金を出すと言っている。どうです、娘さんの将来を考えたら、ここらで終りにしませんか」と圧力を掛けてきた。

当時、強姦は親告罪、告訴を取り下げたら泣き寝入りになってしまうが、小枝子の両親も祖母も、これ以上は耐えられないと、泣く泣く、それを受け入れたが、ただ一人、祖父の健太郎だけは違っていた。

「俺の大切な孫を傷物にして、ただで済むと思うなよ」

70歳になる元大日本帝国陸軍伍長は竹割り庖丁を研ぎながら復讐を誓っていた。


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