『Sweet Drops』-3
私は唇を離し、シャツとブラから腕を抜き、スカートを脱ぐ。
その間に兄も上着を脱ぐ。
兄の体温に触れる。
私はまたソファに倒され、瞼に、耳元に、顎に、首筋にキスを受ける。
私は瞳を閉じたまま、それを感じる。兄の体温と口づけを。
首筋から鎖骨へとキスは下りていき、そして胸へ。
左手は感触をもて遊ぶように乳房を揉み、反対側の乳房の先端は口の中で転がされた。
舌の濡れた感触と愛撫に固く、敏感になっていくのが自分でもわかった。
そして、兄の手によって愛撫されているということに、酔いしれた。
「んんっ……おにぃ…ちゃ…ん」
うかされたように口走る。
兄は先端を甘噛みする。
その刺激は体中を駆け巡った。
「……んふぅ」
鼻にかかった甘い吐息が漏れる。
兄は胸から口を離した。
濡れた左胸が空気に触れて、ぞくぞくした。
「肌が色づいてる」
兄の指が顎からノド、胸の谷間を通って、脇腹をなぞる。
くすぐったいような感覚と、見られてるという意識で身をよじる。
「やだぁ……」
「何がヤなんだか。……可愛いよ。美咲」
恥ずかしくて、そっぽを向く。
きっと今のでもっと肌はピンクに染まったに違いない。
兄は少し笑って、今度は右胸に舌を這わす。
左と同じような愛撫を受け、私の身体は敏感になっていく。
スッと兄の右手が胸から離れ、下に触れる。
一番敏感なところに布越しに感じる、兄のゴツゴツした指。
下から上へと何度もなぞり上げる。
だんだんと熱く湿り気をおびていくのが自分でもわかる。
胸への愛撫も止まらない。
舌先で転がされ、甘噛みされ、軽くひっぱられる。
いつしか布の上からでもわかるほど、はっきりと濡れていた。
兄は私の身体を隠してる最後の布をとる。
私は少し腰を浮かせて協力し、足を抜く。
くちゅ……。
兄の指が愛液をすくい、紅い突起をいじる。
「んんっ……ぁ」
甘い快感に声が漏れる。
二人の息づかいは少し乱れていた。
兄の指は紅い突起をつまむように動くが、濡れているため、はじかれるように指から離れる。
「あっ……んんっ」
背筋をゾクゾクと快感が駆け上がる。
兄が私の口を塞ぐ。私たちはお互いを求め合うようにキスをした。
しばらくして、少しふやけた指を離して、兄はズボンと下着を脱ぎ始めた。
金属的な音がする。
「母さん達が生きてた時、美咲は、どんなに想っても、可愛い妹でしか、なくて……」
荒い息の下、かすれた声で兄が話す。
私はとろんと兄を見つめ、ぼぅっとした頭でそれを聞く。
兄が自分のモノの先端を十分に濡れた場所にあてがう。
「おにぃ…ちゃ……」
それが合図だったかのように、兄はゆっくりと挿入をした。
「ん…んんっ……ぁっ」
兄のモノが私の中に入ってくる。
十分に濡れてても、やはりきつく、私は眉をしかめる。
「美咲……」
心配そうに頬を兄がなでる。
私は兄の手に自分の手を重ね、耐える。
ゆっくりと入れられ、ようやく収まったらしく、兄が息を漏らす。
そこからまた兄は腰を動かす。
内壁を擦られ、始め苦痛だったそれもだんだんと鈍い快感に変わる。
兄が動く度に、ねちゃ……と湿った音がするようになる。
少し余裕ができた私は兄に尋ねる。
「だから……んっ」
だからなの？お兄ちゃん。
兄にはそれで伝わったらしく、ささやく。
「だから……家出した」
兄妹が愛し合うのは禁忌だから……。
兄は腰の動きを少し深めに変え、胸への愛撫も加えた。
「ひぁん…あぁっ……」
快感に我を忘れて声を上げる。
快感に溺れる一方で私は理解していた。
私たちが両親を殺した、と。
私がいなければ、兄は家出をしなかった。そうすれば、両親は死ななかった。
私と兄は共犯者……。
親を殺し、兄妹の禁忌を破り……。
罪の意識が余計に私を絶頂に導いた。
「おにぃ…ちゃんっ……」
「美…咲……」
二人の息使いが激しくなる。
擦られた部分が熱くなる。
我慢できなくなるほど熱くなる。
「――――っ」
私は兄が私の中で痙攣するのを感じ、そして、絶頂を迎えた。
私と兄はソファの上で抱き合ったままでいた。
「風邪ひくな」
ゆっくり笑って、兄は体を起こして、着替え始める。
私もとりあえず下着をつけ、シャツに腕を通す。
「……どうして」
ズボンをはいた兄がソファにもたれるように床に座り込む。
「どうして、俺たち兄妹なんだろうな」
うつむいていて、兄の表情はよくわからない。
私はそっと床に降り、兄の肩に手を回した。
「……和也」
兄の柔らかい髪をかき抱くように、そっとそっと抱き締めた。
何も言えなかった。
雨音だけが私たちを優しく包み込んでいた。
THEEND