紅香語り(8)-1
「『わたしたちは、おっぱいなら大人に負けないよ。誰にも‥‥』。お姉ちゃん、いつかそう言ってくれたよね」
そうです。わたしはすっかり思い出しました。春、四月‥‥。
海田くんがわが家に来る以前、わたしの調教が決まった、ちょうどその前日でした。桃香は先に寝てしまい、勉強を終えたわたしも、そろそろ寝ようかというときでした。コンコンとドアがノックされ、いつになく深い
「紅香‥‥」
白香お姉ちゃんも、あの夜のことを思いだしたようでした。
「お姉ちゃん、大好き‥‥」
わたしは、涙腺のあたりがおかしくなってきていました。きっと、目はもう、うるうるしていたと思います。
「ありがとう。でも、だめよ、紅香‥‥」
「お姉ちゃん‥‥」
「それは、彼に言ってあげなさい」
白香お姉ちゃんは、おごそかに言いました。
「彼――海田くんに‥‥」
わたしは、こくりとうなずきました。そして言いました。できるだけ優しい声で。
「お姉ちゃん、もう一度、おっぱいに行くよ‥‥」
お姉ちゃんは、あごを少し引きました。縛られた不自由な状態で、うなずいてくれたのです。わたしは、お姉ちゃんのその受け入れてくれようとする心ざしに、なんともいえない気持ちになって、最大限の優しさを込めて、自分の乳房を、お姉ちゃんの乳房の上に乗せるように持ってゆきました。
そうっと、そうっと。
やはり、乳首が触れるか触れないかくらいの接触を心がけつつ――目はお姉ちゃんの顔を見上げる形ですから、頭のなかで自分の体の動きとおっぱいのラインを思い描いて――お姉ちゃんの美巨乳を下から、これもやはりお乳首でなぞり上げるようにしました。
お姉ちゃんの本当の優しさが現れている、繊細な乳肌の山の曲面を。最大限の愛情を込めて。
「あっ、ああん。ああ――あ、あああああンっ! べっ、べっ――紅香ああぁっ!」
お姉ちゃんは声を抑えているようでしたが、それでも嬌声をあげてしまっていました。その豊かなバストの
(綺麗‥‥)
と、そう思ったのでした。
しばしのその濃厚な乳蜜儀の後‥‥。お姉ちゃんは、口を開きました。
「紅香、これ、気持ちいい‥‥。このおっぱいすりすりも、海田くんにしてあげなさい‥‥」
「あ――うん‥‥」
お姉ちゃんの言葉は、わたしも思っていたことでした。