紅香語り(5)-1
一度出はじめると、お姉ちゃんの
(信じられない‥‥)
というように、白香お姉ちゃんは大きく目を見開いていました。
「わたしたちにモミモミされて出さなくて、ラジコンブラで出しちゃうなんて、なんかもお、信じらんない、というか、許せなぁーい!」
桃香は、コントローラーを手にしたまま両手を腰にあてて嘯きます。が、しかし、ますます調子に乗ったようで、やがてラジコンブラは外しましたが、とんでもないことを言い出しはじめたのでした。
「白香お姉ちゃんにも、秋の運動会用に、白い体操服とブルマを買ってあ・げ・る。中距離徒競走、ね♡」
「え‥‥?」
重なったわたしとお姉ちゃんの声に、妹は得意気にかぶせました。
「走ってる最中に母乳が出ちゃうんじゃない? 大勢の前で‥‥♡」
この言葉で、妹が何をするつもりなのか、わたしにはわかりました。たぶん、お姉ちゃんも同様だったのでしょう、さっと顔を伏せました。清蘭名物、中距離徒競走‥‥です。わたしは、いけない想像を胸に描いてしまいました‥‥。
白香お姉ちゃんが走るときの
汗で透けた白の体操服。桃香はおそらく、ノーブラでやらせる気でしょう。お姉ちゃんの
その様を想像してしまい、わたしまで思わず、興奮してしまいました。
(そんな羞恥運動会――羞恥徒競走が、あっていいの‥‥?)
さらに、
――しかし、エッチな想像ですっかり熱くなっていたわたしの頭は、桃香の次の言葉で、さーっと醒めてゆくことになりました。
「ふふふ、でも、運動会は秋だから、待ちきれないかな‥‥? 白香お姉ちゃん、いま、したい‥‥?」
え、というように、白香お姉ちゃんは顔を上げました。
「今夜、いますぐ、こっそり夜の道を走らせてあげようか? せっかくこっそりやるのに、ブルマと体操服じゃつまらないから、全裸で‥‥。もう夜でもそんなには寒くないし、少しなら風邪もひかないでしょ?」
これを聞いた白香お姉ちゃんのほつれた前髪の間の目に、驚愕と恐れの光が点りました。それは、その露出プレイを強要されることに対する羞恥や汚辱感ももちろんあるのでしょうが、それよりも――。
「ふふふ、近所で噂になるかもよ。あそこのマンションの巨乳――爆乳の女のコが、夜、おっぱいをぶるんぶるんさせながら走ってるって‥‥。うふふ。うふふふ♡」
――等ということを、さも効果的な調教メニューを考えついたとでもいうように得意気に語る桃香。幼いゆえ容易に暴走しがちなこの末妹と、現実化した場合に起こる事態への懸念の光のように見えました。