置屋「峰岸」-2 増子とは置屋「峰岸」の芸妓で、明彦が16歳の時、初めて体を交えた女だった。今は、馴染のお客、会社役員である大山耕三の後妻に収まっているが、最近は体調が優れないと聞いていた。 「あんた、色々迷惑を掛けたんやから、一度、お見舞いに行かんとあかんよ」 「ああ、そうだな・・」 明彦は二日酔いでぼやっとしている頭を押さえながら起き上がった。