狂【疑心】-1
ブブブ ブブブ
一日に何件も届く送り主不明のメール。
内容は日毎エスカレートし俺の行動を監視しているかの如く詳細に書き込まれている。
心当たりを考えてはみてもいまいちピンとこないし
理由が分からない。
内容から女であることは分かっても もしかしたらそれすら嘘なのかもしれない。
疑いだしたらキリがない。
段々メール受信を知らせるバイブが恐くなり 頭がおかしくなりそうになっている。
パカッ
恐る恐る本日20回目のメールBOXを開いた。
本当は恐くて見る前に全て削除してしまいたいが 恐ろしい内容がどこまで進んでしまっているのか確かめないことの方が数倍恐ろしく感じる俺は いつも震える手でメールを確認する。
『明日何時の回にする?』
『あ…姉さん 忘れてた』
とてもホラー映画なんて見たりデートするような状況ではない。
でもこのままでは俺は本当に狂ってしまう様な気がして。 気晴らしにしようとメールを返した。
ブブブ ブブブ
思ったより早い返信に急いでメールを開く。
普通の人とのメールで嫌な現実を忘れてしまいたかった。
『ずっと見てるよ』
俺は受信BOXの中を全て消去して電源を切った。
――日曜日
待ちに待ったはずの日曜日。姉さんとどうにかなることを考えていた日曜日。
待ち合わせ場所で姉さんを待つ俺は 別の理由で周りを気にし、そわついていた。
『おまたせっ』
息を切らして改札から駆けてきた彼女。
デニムのミニスカートからスラリと伸びる陽に焼けた肌が 健康的な印象を与える。
『まだ時間あるからお茶でもしよっか!』
『そうっすね』とだけ答え 彼女に引っ張られる様に近くのコーヒーショップへ入る。
『――でね ‥―だったのぉ♪』
『……』
『隆士くん?どうしたの?』
彼女の問い掛けに我に返り 窓の外から慌てて視線を戻す。