マジックミラー-3
「ねえ、奥さんと比べて、どっちが美味しいかしら?」
もう一度舐めようとしていた幸弘が、一瞬眉を寄せて動きを止めた。
「さあな」
「教えてくれないの?」
「いや、そうじゃなくて……知らないんだ」
あっけにとられる瞳美。
「奥さんのここ、味わったことがないっていうの?」
「ああ。抱いたことは一度も無いからな」
瞳美が気まずそうな顔をした。
「ま、まあ、夫婦なんてそれぞれだよね……」
「それはそうと、俺のを味わってみないか?」
そう言って立ち上がると、幸弘はジーンズのベルトを解き、ホックを外してジッパーを下げた。
「まあ、なかなか立派じゃない」
トランクスの中央には見事なテントが張られている。瞳美はそれにそっと手のひらを当てがい、ソロリ、ソロリ、と撫で回した。
「大きいだけじゃないのね。凄い力で押し返してくる」
ジーンズを床まで引き下ろして脱がせると、瞳美はトランクスに手を掛けた。
「さあ、出てらっしゃい」
「そう、逆だよ。旦那が他の女に愛撫されているのを見たら興奮するのかい? 奥さん」
マジックミラーの向こう側では、今まさに幸弘の肉棒の先端が瞳美のドロリと湿った赤い舌で舐められようとしている。
「それは……試したことがないから分かりません」
「じゃあ、試そうじゃないか」
「しつこいですね。あなたとは今、する理由がないんですってば」
「ほう、それじゃあこんなことをされても感じないんだよな」
江島は玲奈の桜色の乳首を指でつまんで軽く引っ張り、自分の舌に擦りつけた。
「う……」
「おやあ? さっきとは反応が違うなあ。やっぱり旦那が他の女に愛撫されてるのを見てるからじゃないのか、奥さん」
玲奈が答えに詰まっているスキに、江島は乳首を口に含み、強く吸った。
「あっ……」
「それみろ」
明らかに悦楽の反応を示し始めた玲奈のブラウスを脱がせると、江島はブラを剥ぎ取って、剥き出しになった白い肉の膨らみにむしゃぶりついた。
「ああ、やめ、やめて下さい」
「本当にやめていいのかな、奥さん」
江島の手がスカートの中に入っていく。玲奈は太股を寄せて抵抗したが、太い指がパンティの上から谷間にめり込んでいく。
「ビチョビチョじゃないか。こんなになってるのに、何をガマンしてるんだ」
「それは、助手席のせいですってば」
「それだってなんだか不自然じゃないか。自分の体がどういう状態になるか分かってて自分から助手席に座った上に、なんの躊躇いもなく俺と二人っきりになったんだぞ。最初から欲しかったんじゃないのか」
「そんなわけ……」
必死に首を振る玲奈。
「それにだな」
江島はガラスの向こうを視線で示した。
「旦那を見ろよ。瞳美にしゃぶられて、気持ちよさそうに目をつぶってるぞ」
その通りだった。幸弘は完全に夢見心地になっている。玲奈の瞳の奥が、妖しく光った。
「明らかに興奮してるじゃないか、奥さん。あれを見て」
玲奈は言葉が出てこなかった。
「……素直になれ、玲奈」
江島は強引に玲奈の唇を奪った。
玲奈は彼から離れようともがいたが、大柄な男の力からは逃れられなかった。
「あら、先っちょから何か出てきたわよ」
「さて、何だろうねえ」
幸弘はとぼけてみせた。
瞳美はその液体をペロリと舐め取った。
「トロリと甘いんだけど、少し塩味で、ちょっとだけ苦い。なかなかの珍味ね」
「文字通り、珍味、ってか」
「それ、セクハラよ」
そう言いながら幸弘の根元をギュっと握りしめ、先端をベロベロと舐め回す瞳美。
「う……おいおい、強すぎるよ。出ちゃうじゃないか」
「そう? じゃ、こっち」
瞳美は皺の寄った袋の裏側に舌を伸ばし、ツー、っと舐めた。
「こそばゆいな」
「嫌かしら?」
「いや、悪くない」
「見事なものだねえ、奥さん。無駄な脂肪のひとつも着いちゃあいない」
全てを脱がされた玲奈が、江島の前に立っている。
透き通るような白く滑らかな肌。スリムなのにメリハリのきいたボディライン。大きめの乳房はそれ自体の重さでやや下に寄っているが、十分なハリがあり、静かに揺れている。豊満な白い尻は少しも垂れることなくプリっと張り出しており、深い谷間を形成している。
「さあ、始めようか、奥さん」
玲奈は反射的に後ろを振り返った。ガラスの向こう側では、すぐ目の前で、瞳美が幸弘の肉棒を深く深く咥え込み、彼を上目遣いに見上げている。幸弘は、目を閉じ口を半開きにして、されるに任せながら、時折瞳美の頭を自分に引き寄せていた。
「気になるか、向こうの二人が」
江島は、幸弘と瞳美の方にチラリと視線を投げたあと、玲奈に顔を近づけてまっすぐに目を見つめた。
「……スタジオの方を向け。そして、ガラスに両手を突いて尻を突き出すんだ」
「何をする気なの?」
江島は大げさに両手を広げて見せた。
「おいおい、訊くか? それを」
玲奈は唇を噛んで俯いた。
「瞳美、鏡に両手を突け」
「後ろから、ってこと?」
「嫌か」
「嫌だったらしないわ」
瞳美はマジックミラーに両手を突き、尻を上げた。そのちょうど裏側の同じ位置に、玲奈の手のひらがある。二人は、まるで鏡に映したかの様に、ガラスを挟んで同じ姿勢で対峙した。
幸弘は、瞳美の豊満な尻を両手で鷲づかみにし、左右に割り開いた。そして、自分の肉棒をその奥にある谷間に突き立てた。
「行くぞ」
「行くぞ、玲奈」
玲奈は無言のまま身を固くした。