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陽炎の渓谷
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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オレンジ-2

「ふぅ……」
 ヘッドレストの付いたPCチェアに、倒れ込むように背中を預け、鑑賞者は深く息をついた。
「なんて……なんてことを」
 画面には、白い尻を晒したまま地面に倒れ、肩で大きく息をしている玲奈の姿がまだ映っている。
 落ちたオレンジに気を取られた瞬間に、いきなりスカートを捲られ、パンティを引きずり下ろされて、無防備に晒してしまった秘めやかな女の中心を乱暴に犯された彼女は、望まぬ悦楽に体の芯まで痺れきり、果てた。
「ご感想は?」
 一部始終を見ていた鑑賞者の背後から、不意に声がかかった。それは静かな囁きであったが、幾分かの嘲笑を含んでいるように、彼には感じられた。
「……一人にしてくれないか」
 背後の気配がオレンジの香りと共にすーっと消えると、鑑賞者は、画面の中で悦楽の余韻に浸っている玲奈をぼんやりと見つめながら呟いた。
「あの日。十五年前のあの時に始まった悪夢は、まだ終わらないというのか」


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