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砂漠の薔薇
【女性向け 官能小説】

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-6


「お。早いじゃん」
入ってきたのは息を荒くした阿部さんで

「はぁ?何言ってんだよ?意味分かんねーんだけど。
村田さんから電話があって、昨日の子がここで泣いてるって」
「あってんだろ?」
「なんで村田さんが鈴木さんを知ってんだよ」
「あ〜それは俺が昨日の事を村田さんに言っちゃったから」
「言うなよ!」
「え〜だって昨日の阿部、面白かったんだもん」

マスターが楽しそうに、阿部さんが機嫌悪く話をしている間に
私はそっと涙を拭いた。

「だって、阿部ってば今日もかけてきたんだろ?」
「・・・・タクシーが捕まりそうになかったんだよ」
「まさか家からかけてきたのかよ?」
「・・・・わるい?」
「いや。スゴいね。鈴木さん。阿部を1駅分走らせたらしいよ。阿部、仕事とジム以外で走ったの何年ぶり?」
「うるせーな」

「息が上がってるけど?」

ニヤニヤ笑うマスターに
「水くれ!」と私の隣にドカッと座った。

「で?鈴木さんは土曜日の夜に何でこんな店に居る訳?」
「こんな店で悪かったな」

「なんとなく家に帰りたくなくて」
ボソッと言った言葉に2人は黙り込んだ。

「あ、でももうマスターに話を聞いてもらったから平気です」
そう立ち上がった私の手を阿部さんが優しく握った。

「帰りたくないなら・・・オレんち、来るか?」

「え・・・」

カチッと音がして
マスターが煙草に火を付けた。



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