叔母と甥、一夜の過ち-5
≪楽しい同居生活≫
午前0時、お風呂から出た悦子が二階に上がって客間を覗くと、太一は夏掛けを肌蹴ることも無く寝入っていた。
(寝てる。札幌から来て、緊張しっぱなしだったから、やっぱり疲れたんだ)
夫がいない間、女の一人住まいは何かと不用心だが、この夏は一人ではない。まだ幼さは残るが、体が大きく、男臭さが漂っている18歳の甥、太一がいてくれるので、悦子は安心して眠れる。
「おばちゃん、昨日、部屋を覗いた?」
「うん。ぐっすり眠っていたけれど、起しちゃったかな?」
「いや、なんか光った感じがしたから、聞いただけだよ。ちょっと早く寝ちゃったかな。もう少し頑張らないとお母さんに叱られちゃうな」
朝、こんな会話でも悦子にはとても新鮮だった。自分も受験の時は遅くまで勉強したもので、たまに早く寝てしまうと、友達よりも勉強が遅れてしまったようで、焦ったものだ。
甥の太一も同じように感じていると思うと、嬉しくなった。
言葉通り、太一はそれまで遅れを取り戻そうと、毎日夜遅くまで勉強し、悦子を驚かせた。
太一、頑張りなさい。きっといいことがあるわよ
毎朝、眠そうな顔をして起きてくる太一にお弁当を持たせて予備校に送り出す、悦子にも楽しい生活の予感がしてきた。