新しい夫婦のあり方を-3
(亨さんの匂い…)
強烈な雄の香りに気づいた智美は、パートナーにも快感を与えたいと思った。割れ目に亨の舌の刺激を味わう時間はたっぷりとある。智美は快感に堪えながら、股間に埋める亨の顔を両手で優しく挟んで持ち上げると、その耳元に囁いた。
「キ、キスして…」
その言葉に亨は驚いた。智美は自身の愛液が口に触れることを嫌う傾向があるため、クンニの後に、自らキスを求めることはなかったからだ。
いつもと違う智美の願いに興奮した亨は、せっかくなので、今一度割れ目に唇を押し付けて、新たに溢れた愛液を唇に擦り付けた。
「はああん」
淫らな液で顔を濡らした亨は中腰になり、左手で智美の乳首を摘まみ、右手で智美の顎を掴んで上を向かせた。
とろんとした表情の智美の口が、亨の唇を求めて半開きになった。亨は乳首を捏ねながら、智美に唇を重ねた。
「むうん、んうんん」
その甘美な刺激で智美の女体に身震いが走った。亨とのキスで興奮したのは久し振りだった。
智美は自身の愛液で汚れた亨の唇を積極的にねぶる一方で、亨の下半身に手を伸ばしてズボンの上から亀頭の裏を撫で擦った。手のひらにじっとりとした湿り気と熱さを感じた。
「むうっ、ううっ…」
呻き声と共に絡め始めた亨の舌が智美の口内で激しく蠢き、乳首を摘まんだ亨の指先に力が込められた。
「はううぅ…」
重ねた唇から互いに吐息を洩らした。
亨の反応に気をよくした智美は、さらに積極的にことを進めた。亨のベルトに手をかけて外すと、ズボンを、そして下着をずり下げて、いきり勃った肉棒を窮屈な場所から解放した。
女体に向いた亀頭の先から、噎せかえるような男の匂いが漂ってきた。智美は手を伸ばしてその香しい芳香の元を握った。ヌルヌルした心地よい感触を手に馴染ませるように軽く扱いた。
ヌリュ、ヌリュッ
「ううっ…」
亨は甘美な刺激に声を洩らした。そして、更なる快感を期待して、絡み合わす舌を離して智美の口を解放した。
「ちょっと待ってろよ。ウエットティッシュ取るから」
「いいの、このままで」
一旦、離れようとした亨を智美は制した。
「えっ?」
亨はクンニ後のキスのときより驚いた。智美は自身の愛液以上に、亨の体液が口に触れることを嫌い、ウエットティッシュで拭かなければフェラチオをすることがなかったからだ。
「いいのか?昼間から汚れたまんまだぞ」
仕事場で写メを受けてから、今夜のことを考えて何度も勃起していた。当然、その都度先走り液で汚しているのは漂う匂いでわかるはずだ。
「だって、あたしの写メで興奮してくれたんだもん。あたし、嬉しかったの。だから亨さんにも悦んでもらいたいの」
卑猥な写メを送ってからの亨の反応に接しながら、智美は今までの自分を反省していた。
自分を求めない亨に不満を抱いていたが、自身では求められる努力を怠っていたことに気づいたのだ。
『いちいち拭かれたら興醒めするよ』『一回くらい口の中に出させてくれよ』『口で綺麗にして欲しいんだけどな』
自身の濡れ体質が影響してか、股間の汚れを気にする智美は、少し潔癖性の気があった。それが影響してか、夫婦生活の中で、こんな亨の望みを叶えたことはなかった。
しかし、春奈との交流で智美の性癖は、すっかり変化していたのだ。
「ずっと、こうして欲しかったんでしょ」
智美は伸ばした舌先を、亀頭に這わした。芳しい男の匂いで躊躇しそうになったが、それも一瞬のこと。吹っ切れた智美は、芳香を放つヌルミをペロペロと舐め取り、その匂いが口内に広がり鼻腔へと抜けた。