新体制-4
県警本部に戻り、石山、マギー、華英で会議室に集まりミーティングを行う。未だRevolutorなる犯人像が見えて来ない中、捜査に当たった人物をホワイトボードに書き込み関係図を纏める。
「疑わしき人物、そうでないであろう人物も含めて多くの人から話を聞いて来ました。まず
佐川明子と小渕愛子が立て続けに全裸で張り付けられると言った事件が発端となりRevolutorなる犯人であろう者からの犯行声明が届いた。捜査する中でその全裸張り付け動画がネットに大量にアップされてる事を受け、もしかしたらその動画の中に犯人が映っているかも知れないと言う観点から動画サイト最大手のYourtube社に出向き、そこでサイトの管理者、中島哲治氏から話を聞く中で卑劣動画をメインにアップしている、所謂裏サイトの管理人が同じR evolutorを名乗っている事が分かった。ただしこのサイトは海外のサーバを複雑に経由しており身元特定には相当な時間がかかる見込み。そんな中、このRevolutorがビッツコインを大量に保持し、インサイダー取引に似た手口で相場を不正操作し稼いでいると言う情報を得た。
ビッツコインを調べる中で、実はこの千城県、特に城南市が日本で一番ビッツコイン所有者が多い地域だと分かり、常磐銀行の仮想通貨課の矢島洋一氏に話を聞き、元市長の佐川明子が積極的にビッツコインを城南市に定着させるべく動いていた事を突き止めた。そして大豆町にあるGirlsMall城南と言う女性専用風俗ビルを華英ちゃんと結衣ちゃんに当たって貰った。支払いから給料まで全てビッツコインで決済と言う徹底ぶりはすっかりビッツコインが定着している事を物語っていたし、地域の老人までもがビッツコインについての深い理解を持っていた事もわかった城南市にビッツコインを定着させたのは佐川明子と見て間違いない事は確かだと言う結論になった。
そんな中、県知事であり元目立製作所社長で 次の総理大臣候補と目されている高島謙也から捜査を止めるよう圧力があった。ここで高島謙也の事件との関わりが浮かんできた中で、息子の高島広徳に話を聞いた。かなりのイケメンで女性に凄く人気がある大学生。彼もビッツコインに深く関わっており、特に女性にビッツコインの扱い方を教えて広めている事が分かった。でも被害者は出ておらず、彼によりビッツコインを始めた女性は軒並みお小遣い稼ぎになると喜び、感謝すらしてる。現時点で怪しい情報は一つも出てきていない。
そして今日、佐川明子と小渕愛子の陰謀で市長の座を追われた梶山博之氏が市長に復帰。秘書に孫の山岸桜氏を起用し市政に当たる事が発表された。
これがこれまでの簡単な経過だけど、この事件、ビッツコインが大きな鍵となる可能性が高くなってきた。今や億単位の利益、損失が関わる極めて大きな存在になっているのは確かだけど、まだ仮想通貨がらみの法案が整備しきれてない事を考えると犯人はそこに着目してもっと大きな事件を引き起こそうとしている可能性も出てきたわ。この事件は現役美人市長が全裸張り付けされたと言うゴシップ事件では終わらない、日本全体を震わせる大きな事件になる予感がする。私はそう睨んでる。」
若菜がホワイトボードから手を離すと、マギーは思った。
(そう睨んだからわざわざ警視庁総監様が直々こっちに来て捜査をしてるって事か…。)
警視庁総監が現地入りし自ら捜査に関わっている事が、すでにこれから起こるであろう事件の大きさを物語っていたのであった。