ザ-4
夜とはいえ、ネオンがほのかにきらめく駅前は相手の顔がはっきり認識できて
「阿部さん?」
と、確認してみる。
経管の阿部さんだ。
「そう。さっきあの部屋に居たんだけど」
あぁ・・・
そうなんですね。
落ち着いて思い出してみれば
それは知らない顔じゃなくてわが社のエースが集う経営管理部のメンバーだった。
「先ほどはすみませんでした」
笑いが止まらないようなその顔に
自分のやっちまった行動が恥ずかしくて目を伏せてお辞儀をした。
「あの時、俺のプレゼンの相談をしていたんだよね」
「はぁ・・・」
「で、キミが帰るって言いだしたから、新田さんも帰る事になって・・・結果山田さんも帰る事になって」
「・・・・」
「俺のプレゼンの相談は月曜日に持ち越しになった」
スミマセンデス・・・
「だから、俺は土日で直せたはずの資料を直せなくなった」
土日に仕事する気だったわけね。
こーちゃんと同じくワーカホリックだ。
「だから、急いで帰る必要もなくなったし」
たまには早く寝てください。
「一杯奢ってよ」
女の子に、一杯奢ってよ、と言うオトコに初めて遭遇した。