第二話 主婦、飯島弥生の悪夢-3
弥生は立ち上がると、「おトイレに行かせて下さい」と訴えた。
「えっ、何?」
「おトイレに行かせて下さい」
「オシッコか?」
「あ、いえ…」
「ウンコか?」
「そんなことどっちでもいいでしょう!早く、早く行かせてよ!」
便意もそうだが、男の態度にイライラした弥生が強い口調で訴えると、男は「分った」と立ち上がった。
監視されていては助けを求めるのが困難だ。弥生は「一人で行けますから」とトイレに向かったが、男は後ろからついてくる。
「来ないで下さい」
「そうか、ははは、遠慮しとくか」
あっさり諦めてくれるなら、これも。
「手錠を外して下さい」と手を男の前に出すと、「どうして?」とニヤついている。
その間にもギュルギュルと便意が迫る。
「早くして下さい」
「分からねえな」
「ふざけないで下さい!」
「ははは、そうか、パンツが下ろせないか」
怖くても、これ以上の悪ふざけは許せない。
「変こと言ってないで、早く外しなさい!」と弥生がヒステリックに叫んだ瞬間、パチン!と男の平手が弥生の頬に飛んできた。
「あ、痛っ…」
横倒しになった弥生が赤く腫れた頬を押さえながら見上げると、男の顔付きが一変していた。