あなたは紅香と‥‥。(4)-4
あなたが頭をめぐらせていると――。
ジリリリーン! ジリリリリリーン!
突然、けたたましい音がした。白香のスマホであった。着信音を、昔の電話風にしてあったのだ――。
「――あ、そうだ。紅香――“スカーレット”に寄って、コーヒーの豆、買ってきて。そう。いつもの、大きな罐のやつ。一キロ入りの――」
電話をかけてきたのは、あなたの紅香だった。白香はスマホを手に話しながら、あなたに洗面所ではなくキッチンで手を洗うように言い、それから、テーブルや椅子を元の位置に戻すように言いつけてきた。そして妹には、シャワーを浴びに行くように言いつけた。が、桃香が、消え入りそうな声ながらも、
「桃香、おフロがいい‥‥」
と言ってきたので、彼女はそれを許可したのだった。
「あのコ、お風呂好きなのよ。この間も入ったの。三人でね」
妹の小さな姿が脱衣所へ消えると、白香があなたにそう言ってきた。これを聞いたあなたは、自然に、
(三人、ということは――)
と考えざるを得ず、そして、想像力が喚起されざるを得なかった。白香は付け加えた。
「そうよ。紅香も一緒に、三人で、おっぱい洗いっこしたの。それで、キャッキャ言って喜んでたわね。あのコ――桃香も。そして紅香も」
あなたは特別に想像力豊かな男ではなかったが、いやがおうにもイメージが湧いてこざるを得なかった。この爆乳姉妹たちが、キャッキャ言いながらおたがいの
(‥‥‥‥)
もちろん、あなたの紅香の姿もその只中にあった。そして、あなたの脳内で入浴中のその姉・白香が、聞きもしないのにさらに言ってきた。
「ちなみに、わたしのスリーサイズはね、海田くん。上から一〇二、六三、九二よ」
いや、言ってきたのは現実の、目の前に立つ蒲生白香だ。どん‥‥!とふくらんだ胸の前で腕を組み、目を冷ややかに光らせている‥‥。あなたは思わず聞き返していた。
「はい?」
「おっぱいは、アンダーが六九センチ。トップが一〇二センチ、よ。ご参考までに♡」
なんの参考だ、とあなたは言い返すべきだったのかもしれないが、そのときは言葉が出てこなかった。
「だから‥‥わかるわよね? Jカップよ♡」
白香は、にやりと笑ってあなたに告げたのだった。これで、あなたは三姉妹全員のボディデータを知ったことになる‥‥。