4月:異動-4
「んっ・・・」
私が思わず漏れ出した声に満足そうに笑って
「愛してるよ」
と急に真面目に声を出す。
「小川く。。。ん」
やっととぎれとぎれに呼んだその名前は
大好きな人。
大好きだと自覚した人。
そして遠くに行ってしまう人。
「愛してるよ、ほのかさん」
大丈夫。私たちは大丈夫。
そう思いながら、私は小川君を私の身体に受け入れる。
性急に入ってきたそれは、痛いぐらいに大きくて
私の中をいっぱいにする。
奥の奥まで突かれて、私の身体を支配する。
「うん。愛してる」
素直になってそういえば、嬉しそうにキスを繰り返す。
身体中から発散する汗が
身体中から発散する匂いが
お互いを包み込んで
お互いを引き寄せる。
「愛してるよ」
その言葉を今度直接聞けるのはいつだろう?
そんな不安を数え上げたらきりがない。
私たちは「大丈夫」だと言い切れる十分な時間を一緒に過ごしていない。
「ほのか」
でも不安だと思う分、不安だと思える分
それは愛している証拠に他ならない。
愛していない相手に不安にはならないから。