翔べない鷹は愛しきかな――僕はあの日常を絶対忘れない。――-3
「なにっ!?加奈がイジメにあってる!?」
「うん。昨日加奈、学校でおもらししちゃったでしょ?それでクラスの子が汚いってゆってた。だから加奈いつも1人なんだ。」
「くっそー!おれが違うクラスなばっかりに…!」
「…タカくん…。」
「翔っ!お前同じクラスだろ!?」
「えっ?うっうん、そうだけど…無理だよ。僕じゃクラスの子に勝てないよ。やっぱり先生にゆったほーが…」
「ちげぇよ!翔に戦えなんてゆってねぇよ。主犯を教えろっての!」
「しゅはん…?」
意味はよく分かんなかったけどクラスのリーダーを教えたら、次の日そいつが加奈に謝ってた。
「タカくん、どうやったの?」
「まぁ1発あいつの顔にかましただけだよ。」
「えーっ、タカくん、すごいね!」
「バーカ!男はなぁ、女を守るもんなんだぜっ!」
「へぇ〜、タカくんカッコイイ!僕も頑張るよ!」
「翔くん…っ」
病院に着いたらタカの母親が駆け寄ってきた。
目が真っ赤だ。
「…タカは?」
「この奥よ。タカに会ってあげて。…最後に…。うぅっ…」
僕は奥の部屋に入った。そこは真っ白なベッドしかなくてタカがその上に寝ていた。
「いつまで寝てんだよ、タカ」
白い布を取ると、傷だらけの顔が見えた。
「タカ、痛い?」
あぁ、よめたよ。どうせまた加奈を守ったんでしょ?いつもおいしい事して。
加奈がタカを好きなの、なんとなく分かるな。優しいんだよね。悔しいよ。
タカの通夜はあっという間だった。
もうすぐタカの体は燃えてこの世になくなるんだ。
なんか実感わかない…。
ねぇ、タカ。タカがなかなか起きないから今日学校休んじゃったよ。受験生だってのに。
ねぇ、早く起きてよ。
「今日加奈ちゃんは…?」
「家で勉強してるわ。行きたくないって。無理にでも連れてくるべきだったかしら?」
「……………。」
「でも加奈をかばってタカちゃんが…って思うと加奈の気持ちが痛々しくて…。タカちゃんの事、本当に大好きだから。」
「…そうね。加奈ちゃんは辛いところね。」
そうだ…。そうだった…!加奈は?タカが事故にあってから1度も見ていない。
加奈に会いに行かなくちゃ。なんだか嫌な予感がする。