裏切り (4) ラブホテル-2
二人はベッドに上りシックスナインを始める。
シャワーも浴びていない身体を異性の前に平気でさらけ出すゆきとZ。
男のごつごつ逞しい身体の上で、滑らかな曲線を描く裸の女。
ブラジャーもショーツも剥ぎ取られ、美しすぎる裸体が蠢いている。
むちむちの太もも、大きな尻、汗ばんだ背中、ぷるんと揺れる乳房につんと立った乳首――。嫉妬すら忘れて思わず見惚れている間に、ゆきがまたオーガズムに達した。なおも責められる。ゆきも泣きながら健気にZのペニスに奉仕する。
二ヶ月弱の我慢の日々を取り戻すかのようなシックスナインは、ゆきが悲鳴とともに潮を吹いてようやく終わった。
「あ、だめ……あぁだめだめだめ……出ちゃう……ぁあ!なんか出ちゃう……ごめんなさい!」
汚れるのも厭わずゆきの大量の分泌液を顔面に浴びて嚥下するZ。お返しとばかりに今度はびしょ濡れになったZの顔を舐め回すゆき。夫ではない男の顔に舌を這わせ自らの排泄液をペロペロ舐め取っている。
「汚しちゃってごめんなさい」「いいよ。綺麗にしてくれてありがとう」「私の涎で汚くなっちゃったね」「ゆきさんの涎ならどれだけついても汚くないよ」
見つめ合ってキス。
「ゆきさん素敵だよ。本当に可愛い」
Zが上になりゆきの太ももを押し開く。
「いい?」
無言のキスで応えるゆき。ついにそのときが来てしまった。
男の逞しい身体に割って入られてゆきの股はカエルのように大きく広げられている。なんという破廉恥な妻の姿。股間の中心には黒光りする男性器があてがわれている。またキス。もうお終いだ、ゆきが挿れられてしまう――挿入を許したらもう完全に不倫――お願い、やめて、ゆき――。
「後悔しない?」コクリと頷くゆき。
「旦那さんに内緒で、俺とエッチしたいんだね……」「ねえ、Zくん」
Zの言葉をさえぎるゆき。
「なに?」「観覧車で言ってくれたことほんと?」
「……?」「一緒にいるときは本気で愛してくれるって」
「もちろんです」「ありがと。約束だよ」
男の頬を撫で、潤んだ瞳でまっすぐ見つめている。私の大好きな茶色のくりっとした瞳。
「ゆきさんはどうなんです?ゆきさんも同じ約束してください」
妻の股間がちらりと見えた。くすんだ色の花びらがZの亀頭をもう半ばまで包み込んでいる。まるで男性器と女性器が優しくキスしているようだ。
Zの首に手を回して下から抱き寄せるゆき。「しょうがないなぁ」照れ隠しのような言葉を吐いてはいるが、その横顔は優しくZに微笑みかける。「えーっとコホンコホン……」長いまつげがパチクリと瞬く。「……Zくん……愛してる……」言いながらキス。「Zくんのこと、心から愛してます。ふふふ……今だけだよ……でも大好き……チュ……」またゆきからキス。「もちろん今だけです。ゆきさんに迷惑はかけません。今だけは恋人になろ?」「うん、なる……チュ……」「ゆきさん大好き。愛してる……チュ……」「嬉しい。私も……チュ……」完全に恋人モード。「ねえ来て。もうこれ以上我慢できない」「これかな?」「うんそれ。それが欲しいの。早くちょうだい……」尻をくねらせておねだりするゆき。「ゆきさんそれめっちゃ可愛い」「知ってる。おちんちん挿れたくなったでしょ?」「うん、なった」笑ってキスする二人。「じゃあはやくご褒美ちょうだい」何ごとか、ゆきの耳元で囁くZ。「もうエッチ……そんなことまで言わせるの?」「うん、ゆきさんのエッチなおねだり、聞かせてください」充血した目でZを見つめながら妻が口を開く。「ゆきは……」一人称が「ゆき」になってしまった。
「ゆきは、パパに内緒でZくんと……」感情が高ぶってきたのか少し泣いている。「不倫セックス……したい、です……」かすれた声で、しかしはっきりと切ないおねだりを口にする妻。「Zくんのおちんちん……ゆきのおまんこに……挿れてください……」
その瞬間Zのペニスがゆきの膣の奥深くまで一気に貫いた。「Zくん!ぁあ!すごい!」「ゆきさん!」はじめから私の妻を突き上げるZ。セックスの経験豊富なはずの二人にどこか余裕がない。「ぁあ!Zくん……ぁあだめ!もうイッちゃう!イク!」華奢な妻の身体の中で激しく暴れるZの肉棒に、ゆきは髪を振り乱してイッてしまった。プルプル震えるゆきにお構いなしで、Zは自分勝手に腰を打ち付ける。またすぐ絶頂に導かれるゆき。手足をぎゅっとZに巻きつけしがみつく。尻も押し付けて舌を絡める。上の口も下の口も、お腹も手足も、身体のすべての部位を密着させる二人。汗も、唾液も、性液も、すべてが混じり合っている。
やがて乱暴に犯されていたゆきの反応が緩慢になってきた。だらしなく口を開き白目をむいて涎を垂らしている。喘ぎ声も単調に「あーー、あーー、あーー」と言うだけ。身体はグニャッと弛緩している。失神寸前のような状態でなおも連続オーガズムを与えられるゆき。膣と子宮以外のすべての身体機能が停止し、性的快楽だけをただひたすら貪るセックスドール。男の射精を促すためだけの存在――愛する妻が、オナホに成り果ててしまった――。「あぁ!ゆきさんめっちゃ締め付ける!だめ、イク!」Zが叫んだかと思うとペニスを抜いてゆきの腹に射精した。