白香語り(1)-2
言ってからわたしは、海田くんが何か言ってくるかと思ったが、彼は、何か言い返してくるどころか、紅香とどっちがというくらい赤くなっていた。
(好機――!)
わたしは、彼にさらに、
「わかってると思うけど、挿入は厳禁よ。それやった時点で、即終わりだからね、あなたは」
となかば脅しつけるように念を押して、リビングを出た。
これで、彼もコントロールできるようになるだろう。簡単簡単。
わたしの名前は、蒲生白香。蒲生三姉妹の長女。つまり、紅香と桃香の姉だ。
紅香の調教――おっぱい調教プロジェクトを進める立場、という意味においても長≠セと思っている。自分ひとりでそう思っているわけではなく、「財団」の人にもそのようなことを言われているから、独りよがりではないだろう。桃香を買い物に出して、わたしはリビングに戻った。
「うん‥‥海田くん、も、もっと優しく、して‥‥」
ソファでは、海田くんが紅香の裸身を後ろからかき抱くようにして、そのオッパイを揉み責めしていた。彼の右手が大きく開かれ、紅香のやわらかHカップ、その左山をせっせと揉み込んでいる。
「やふん! や、や、や‥‥。べ、紅香っ、いやらしい声が出ちゃうぅ‥‥」
紅香はそう言いながら、手の甲を口に当てて、喘ぎ声を必死にこらえようとしているようだった。海田くんもすっかり興奮し、わたしの姿など、目に入らない様子だった。パンティーはすでに脱がされていたが、彼は着衣のままだった。わたしの言いつけどおり、挿入した様子は見られない。どうせ、そんな勇気はないだろうが――さっき、たくみにカバーをかけてある天井の懸架装置に気がついたようだったが、わたしが何か口にするまでもなく、ひと睨みするだけで視線を外し、あれは何かとか追求することは、なかった。それだけの男ということだ。
やがて、ふたりとも、少しペースダウンしていった。それでも、
「ふうん、ふううぅん‥‥」
という紅香の鳴き声は断続的にあがってはいた。が、それほど大きくはないし、開け閉めを素早くやれば上下左右の宅にばれる心配はないだろうと、風に当たりたくなったわたしはガラス戸を開けてベランダに出、そしてすぐに閉めた。