あなたは平凡な男子校生。(8)-2
あなたは努めて冷静に、蒲生紅香の背後に近づき、腋から手を入れた。そして、その豊かな胸にメジャーを、まわしていった。否が応でも、むにゅむにゅっと、やわらかな感触が指という指に触れる。むにゅむにゅっ。むにゅむにゅっ‥‥。
しつこくなるため繰り返さないが、当然、あなたの下半身は、
(
というあなたの努力をあざ笑うかのように、これでもかという反応を示していた。
(打ち込もう‥‥。授業で習った明鏡止水の心、というあれだ――。一点の曇りもない鏡、静かに
紅香も、意を決している様子は見て取れたが、あなたも、自分に言い聞かせることにしていた。余計な考え、邪念を起こすまいと。
(いや、待て‥‥)
ふと我に返ったあなたは、現実的に考える。
(おれは聖人でもなんでもないんだ‥‥。起こるのはしかたないだろう。起こるのは‥‥! そうだ、実際、起こっても仕方のない状況なんだから‥‥。おれがすべきなのは、力を傾注すべきなのは、邪念が起こっても、それに身を任せないこと。そういう方向だ‥‥)
あなたは悲壮な思いで、自分に言い聞かせた。こんなにまでも己と向き合い、闘うのは、久しぶりな気がした。
指の先や腹に、ときには掌に触れてくる、すべすべしていてそれでいてむにゅむにゅしている甘い弾力の誘惑に抗いつつ、あなたはくいと少女の胸にメジャーを巻きつける作業を終えた。作業、というくらいの、長い時間がかかったように感じたが、それは緊張のためで、実際はあなたが思うより早く、巻きつけられたかもしれない。とにかくあなたは、メジャーの目盛りを読みあげたのだった。
「六五センチ‥‥」
白香は、ノートにボールペンを走らせながら、あなたを促した。
あなたはその指示のままに、両手を上げた蒲生紅香の無防備な両腋に、再び、メジャーを持った手をそろそろと伸ばした。そろそろ、そろそろ、と。
(明鏡止水‥‥)
あなたは言い聞かせつつ、ぷにぷにとやわらかい
ぷにぷにぷに。ぷにぷに。ぷにぷにぷにぷに‥‥。
(――やっぱり、相当のボリュームだな)
あなたは痛感を余儀なくされる。たっぷりとした量感溢れる、蒲生紅香の乳房のことだ。あなたの手に触れるその優しい弾性は、いずれあなたによって指を食い込ませられることを待っていた。