〜吟遊詩(第四部†砂漠の国ディザルト†)〜-12
お互い探るような眼差しで見つめ合う。
「「………………」」
時間だけが虚しく過ぎた。
「あー!もう考えるのは嫌いだ!!」
キレたナオが銃をぶっ放つ。
━━━キューンッ!
続けてもう一発。
━━━キューンッ!
二発目の銃弾は、一発目ときっかり同じ軌道を通ってエアルに向かってきた。
一発目の銃弾を突破口にするつもりだ。そうすれば空気抵抗が少なくなる。
「……ちょっとだけピンチかも。いや、2発くらいなら大丈夫か?でも避けとく?避けちゃうか??つーか避けれるわけねぇだろ!」
エアル、本日2度目のピンチ。己に突っ込みながら自己解決を試みるが…あえなく失敗。
そうする間にも銃弾は、速度を落とすことなくエアルを狙い続けている………
━━━━━……
その時だった。
突然、空が暗くなり女の声がした。
「エアル━━━!!まだ死ぬな!」
聞き覚えある声。
「ユノ?」
声のする方を見上げる暇もなく、空に浮かぶジェット飛行船から飛び降りてきたユノ。
空が暗くなったのは、飛行船の陰のせいだった。
ユノが剣を振りかざしながらエアルの前に降り立ち、
キ──────ン!
着地と同時に、向かい来る銃弾を剣で弾いた。もう一発、
キ──────ン!。
二発とも全く同じ所に当たったが、ユノの剣には傷一つ付かなかった。
ユノは途方に暮れるエアルに構わず、今度はナオに向かって行った。
「志が折れれば武士をもくじけようぞ!!」
そう叫びながらナオの顔に向かって回し蹴りをする。
『メキッ……!!』
鈍い音と共にナオのサングラスがまっ二つに折れ、砂の上に落ちた。
全てがまるでスローモーションのように過ぎていった。
「ナオの志ってそれ!?」
とりあえず突っ込みながらもエアルはほっと胸を撫でおろしていた。
「早く!こっち」
ユノはすぐさまエアルの手を引き、飛行船に乗り込もうとする。
「あっ…でもナオが……なんか誤解がありそうで…」
「何言ってんの!?アイツは敵だよ?ほら、早く!!」
ユノは有無を言わさずにエアルを飛行船に押し込めた。
それから飛行船は佇むナオを残して飛び立った。
吹き出すジェットで飛行船の周りの砂が丸く舞う。
飛行船が飛び立ち、落ち着いた頃を見計らいユノが説明を始めた。
「ナオっていう犯罪者がこの辺にいるって聞いて慌てて戻ってきたの。エアルが無事で良かった!アイツは悪い奴なんだから騙されちゃ駄目っ!ねっ??」
言いながらエアルの腕の手当てしている。
「あ……うん。助かったよ」
エアルは痛みに顔をしかめながらも頷いた。
(…なんか今、変な違和感が……)
そんな思いが一瞬、エアルの頭をよぎった。