梨花-6
浣腸とかローソクとか、オサムはちょっとSMがかったことばかりしていたのだが、この頃は大人のおもちゃに凝っている。オルガスターというGスポットとクリトリスを同時に刺激するという妙な形のバイブが気に入っている。これはベルトなどで固定しなくとも抜けないからである。それに何より、梨花が、これに物凄く反応する。あっという間に行ってしまうくらい感じてくれる。大の字というよりも腕を上に向けて縛ると、脇の下にキスしたり舐めたりするのに都合が良い。胸の小さな女は乳首が敏感だとよく言うけれども、梨花は大きな胸をしていても乳首がとても敏感である。そんなことをぼんやり考えているうちにオサムもいつしか居眠りしていた。
梨花は珍しくフォーマルなドレスを着て仕事している。フォーマルと言ってもサテンの黒いロングスカートに上はゴールドのスパングルのチューブである。店に来るまではその上に黒のジャケットをはおっていたが、店ではジャケットを着ていない。いつもは水着のような薄手のストレッチのワンピースで、座ると下着が見えてしまうような短いものしか着ないから、これでも梨花にすればフォーマルな装いなのである。このような服を選んだのは勿論訳がある。今日は珍しくオサムが店に客として来るというからである。閉店の1時間前くらいに来て一緒に帰ろうという約束である。そういう時はたいてい一緒にサパー・クラブなど朝方まで営業している店に行って一緒に飲んだり歌ったりして帰る習慣なので、今日もそれを期待している。
「今日はまた随分シックな服装だね」
「たまにはこういうのもいいでしょう?」
「うん、むき出しの白い肩が眩しくて実にいいね」
などと客に言われて梨花は結構いい気分になっている。いよいよオサムが来る時分になると梨花は
「たまには早く帰って奥さん孝行しなさい。今日はこれから団体のお客さんが来る予定だから、騒々しくなるわよ」などと体よくあしらって自分の客を次々に帰してしまった。
「なんだ、梨花は売れてないんだな、誰も客がいないのか」
「馬鹿ね、オサムが来る頃だから必死になってお客を帰したのよ。さっきまで3組もいたんだから」
「へーえ、勿体ない。俺だったら他の女でも良かったのに」
「私が良くないの」
「何が」
「オサムの隣に他の女が座って欲しくないの」
「いつからそんなに嫉妬深くなったんだ」
「私が嫉妬深いのは、生まれつきよ」
「そうだったかな、知らなかったな。それはそうとその服装は何なんだよ」
「何なんだって、何?」
「そのスカートだよ、まるで安手のコンパニオンみたいだな」
「失礼ね、みんな優雅だって褒めてくれたのに」
「そりゃ、こんな所に来る爺さん連中の美意識はその程度のもんさ」
「駄目駄目、他のお客さんにケチを付けるのはホステスに嫌われるのよ」
「そうか? そうだな。それにしてもどういう風の吹き回しでそんな服を着たんだ」
「あのね、ぶっとくて短いバイブがあるでしょ」
「あの黒い奴?」
「そう、あれ。あれをね、入れたまま仕事してんのよ今日は」
「それでいつもの下着が見えるような奴は遠慮したのか」
「そう、どうせ濡れると思って下着の代わりに水着を穿いているんだけどびちょびちょのぐちょぐちょよ。スカートに染みてないか気になって何度もトイレに行っちゃった。」
「そうか、ちょっと見せてみな」
「馬鹿、こんな所で見せられる訳無いでしょ」
「違う、違う。スカートに染みてないか見てやるっていうの」
「ああ、ほら」
梨花はちょっと腰を浮かしてオサムに尻を見せた。