梨花-47
「女湯でそんなことしたらおかしく思われるわ。女のふりして男が入ってきたんじゃないかって疑われちゃう」
「それは無いだろ。女は隠さないのか?」
「隠さないわよ。よっぽど毛深いとか毛が無いとかであれば知らないけど」
「女って本当に銭湯で隠さないのか?」
「隠さないわよ。誰もそんなことしてないわよ」
「本当かよ。それは知らなかったなあ」
「テレビだけよ。あそこが映るとまずいからでしょ」
「本当かよ。女ってなんと恥知らずなんだろうな」
「だってあんなとこ覗き込んで見る人なんかいないじゃない」
「そうか。なるほど。女のあそこは覗き込まないと見えないんだな。男のチンポとは違う訳だ」
「そうよ。隠さなくても隠れてるのよ」
「なる程それは気が付かなかったな」
「おかしい。オサム今までそんなこと知らなかったの?」
「いや覗き込まなきゃ見えないことくらいは知ってる」
「違うわよ。銭湯で女がタオルを当てたりしないってこと」
「うん、それは知らなかった。あんなのは当然のマナーだとばっかり思ってた」
「厭だな。オサムでも知らないことってあるのね」
「当たり前だ」
「そうか。あそこにキスマーク付けてもタオルで隠すから見られないって思ってたのか」
「そうだ。見られるんならキスマークなんか付けるか。俺、顔から火を吹きそうな程恥ずかしい」
「どうして?」
「だって見せつける為に付けたと思われてるんだろ」
「別にいいじゃない、そんなこと」
「良くは無い。俺がそんな悪趣味な男だと思われてるなんて、穴があったら入りたいくらい恥ずかしい」
「穴ならあるけど、入る?」
「馬鹿。俺は今本当に顔から火が吹いてるんだ」
「それじゃ、今度皆に会ったらオサムがテレビの見過ぎで誤解してたって説明しとくから」
「そんなのは恥の上塗りだ」
「そうかな。どっちにしても別に恥ずかしいこと無いと思うけど。皆羨ましいって凄く騒いでたんだから」
「だからそれが恥ずかしいんだ」
「どうして?」
「お前は恥ずかしくないの?」
「何が?」
「俺がお前のあそこに口付けてちゅうちゅう吸ってるとこ人に想像されたんだぞ」
「うん。いいわねーって言われた。荻窪じゃ、チョコチョコっといじってズブリなんだって」
「何?」
「そしたら中野の姉さんは『うちなんか随分ズブリとご無沙汰よ』って」
「お前達女ってそんなこと言ってるのか。なんてはしたない」
「もっと気取ってると思ったの?」
「男だってな、男どうしでセックスをあれこれ語るなんてのは無いぞ。そんなことする奴は阿呆だ」
「そんなこと無いでしょ。あの女はどうだったこうだったって自慢するもんなんでしょ?」
「それは自分の女とは関係無い女遊びの話だろ」
「自分の女のことは言わないの?」
「言わないな。男はそんなこと言わない」
「女は別に遠慮しないわよ。私の彼はあれが小さいとか普通に言うわよ」
「呆れたな。お前も俺のことそんな風に言ってるのか」
「ううん、オサムのは大きいもん」
「それじゃ私の彼はあれが大きいよって友達に言うのか?」
「うん。大きいんだからいいでしょ?」
「馬鹿、そういう問題じゃない。他の女もそんな話をするのか? お前だけじゃなくて」
「するわよ。ユカリの彼なんかあれは小さいけど時間かけて全身舐めてくれるからそれがいいんだって。そこまでしてくれる男はなかなかいないから」
「なんとまあ。何をか言わんやだ」
「何?」
「女っていうのは一体何を恥ずかしいと思うんだ? お前まさか俺達が浣腸したり縛ったりしてやってることまで喋って無いだろな?」
「まさか。そんな恥ずかしいこと言えないわ」
「そうか。それを聞いて安心した」