梨花-38
「感じたでしょ?」
「うん感じた、早くヒモを解いてくれ」
「どうしたの?」
「うんちょっと変な所に力が入って背中がつりそう」
梨花がほどいてやるとオサムはその場で上体だけ起こして前屈運動を始めた。背中の筋肉がピクピクつりそうなのである。梨花が後ろから押してやると
「痛たた、もういい、もういい」
「なんか年寄りみたいね」
「いや、お前が変なことするからだ」
「口の中に出して貰うつもりだったのに」
「それなら、しごかなきゃいいんだ」
「だって、あんなに早く出すとは思わなかったから」
「あーぁ疲れた。1日中バイブ入れてるより疲れた」
「何言ってんの。バイブなんか入れたこと無い癖に。今度お尻にバイブ入れてあげようか」
「もういい。もう当分セックスは無しだ」
「どうして? そんなに疲れたの? 死にそう?」
「うん。それよりぎっくり背中になりそう」
「そんなのあるの?」
「あるだろ。ぎっくり腰とかぎっくり顔とか」
「何? ぎっくり顔って」
「驚いた時の顔」
「それ、びっくりのこと?」
「ん? それそれ」
「また始まった」
梨花はオサムの出した物をティッシュで取り去り、風呂場から絞ったタオルを持ってきてオサムの全身を拭き始めた。
「ああ、有り難う。いいよシャワー浴びるから」
「いいよ、やらせて。いつもやってくれるでしょ。たまには私がやって上げたいの」
「そうか。お前のおっぱい綺麗になったな」
「汚くなったんでしょ」
「いいや。実に綺麗だよ」
オサムの付けたキスマークは一つ一つが腫れていて痛そうである。一方梨花が付けたキスマークは一つ一つが小さくて色もそれ程赤くは無い。やはり吸う力が違うからだ。
「悔しいな。私もこんなのを付けてやりたかったんだけど」
「それ痛いだろ?」
「痛いわよ。それで少し経つと痛痒くなってくるんだから」
「だから俺のことをいつも思い浮かべることになる」
「こんなの無くてもいつもオサムのこと考えてるわよ」
「いや。痛みと共に思い出すっていうのは強烈な実感があっていいんだ」
「それじゃオサムも暫くは私のこと思い出してくれるわネ。その脇腹痛いでしょ」
「当たり前だろ。見ろ、血が出てるじゃないか」
「うん、ごめんね。薬付けてあげる」
「いい、いい。こんなの直ぐ止まるから。それにしてもお前いくつキスマーク付けたんだ、こんなに」
「10個ずつ、私のと同じよ」
「お前あんなにうめいていてちゃんと数数えていたのか?」
「うん。足の指が痙攣するくらい感じたけど、ちゃんと数えてたわ」
「女の生理っていう奴は分からんな。俺はそんな余裕なんて全然なかった」
「オサムの感じてる顔って凄く可愛い。今度写真に撮りたい」
「阿呆抜かすな」
「なんで?」
「お前も俺がお前のあそこを写した写真なんか持ち歩いていたら厭だろ?」
「だって顔の写真よ」
「顔だって同じだ。いかにも今やってますって顔なんだから」
「そうかな。そんなの人には分からないと思うわよ」
「駄目だ。分からなくても駄目だ」
「人には見せないから」
「それでも駄目」
「私のあそこの写真撮っていいから」
「それで大きく伸ばして玄関に飾っておくか」
「厭だ。悪趣味」
「どでかく伸ばせば却ってなんだか分からないんじゃないか」
「駄目だ。分からなくても駄目だ」
「また真似する」
「しょうが無いじゃない。何でもオサムの癖は移っちうゃんだから」
「さあ、もうそろそろ寝るか。朝日が昇ってくる前に」
「そうしよう。疲れたわねえ」