効果検証-3
「なにって、一緒に用事を済ますんじゃなかったの。やだぁ、ビチョビチョ〜」
智美の反応を楽しみながら、春奈は脱いだ下着のクロッチ部分を指でなぞった。
「ホントにするの!?ここで!?あたしも!?」
智美は目を剥いたが、極力春奈の短いスカートから覗く太ももは見ないようにした。
「嫌なら智美さんはしなくてもいいよ」
「や、やっぱり冗談よね」
智美は安堵の表情を浮かべた。しかし、春奈が滅多にないこの状況を逃すことはしなかった。
「じゃあ、あたしのオナニーが終わるまで待っててね」
帰ろうと思い、自分の荷物に伸ばそうとした智美の手がピタリと止まった。
「うそでしょおおっ!」
「だってエッチな下着姿を撮影して欲しいのよ。自分で撮れないし、荷物が来たら写メ送るって旦那に約束したのよ」
「えええーっ!もう明さんに喋ったの!まさかピンクローター買ったことまで言ってないよね?」
智美は声を張り上げた。
「やだっ!大きな声出さないで。ご近所に聞こえるじゃないの」
春奈は慌てて智美の口を手で塞いだ。しかし、その手はさっき下着の濡れ具合を確かめた方の手だった。
牝の匂いが智美の鼻孔をついた。自分がオナニーしたときと同じ匂い。ぞわっとした智美は反射的にその手を振り払った。それでも自分の大声が原因なので春奈を責めることはできなかった。智美は嫌悪感を出さないようにしながら口の周りを手のひらで拭った。
「あっ、ごめん。あたし、まん汁の付いた手で」
その単語にも引っ掛かったが取り敢えず触れずに置いといた。
「い、いいのよ。あたしが大きな声を出したから…。でも、ホントに明さんに喋っちゃったの?」
「うふふ、おかげさまで昨日は盛り上がって濃厚なセックスができたのよ。で、今日はさらに盛り上げるために写メ送ることにしたのよ。ありがとう。智美さんが一緒に買ってくれたからだよ」
それを聞きながら智美は自分の失敗に気づいた。
(あたしも買ったことを言ったらよかった…)
今日はこの下着で確実にできる確信はある。もし、昨日もしていたら久しくなかった連チャンだったのに、それを逃したことを智美は悔やんだ。そしてそれが股間の疼きをさらに高める結果となった。
しかし、それはそれ、智美は春奈の言葉の中で少し気になることがあった。
「春奈さん、ちょっと聞くけど、あたしが一緒に買ったこと、まさか明さんに言ってないよね」
「えっ?」
昨日から浮かれ気分の春奈。さらにたっぷりと女体を可愛がってもらったことで饒舌になっていたのは否めない。春奈は昨晩の夫とのやり取りを思い返した。
『へ〜、ネットでねえ。智美さん、そんなサイト観てたんだ』
『そうなのよ。智美さんたらピンクローターまで買うからびっくりしちゃった。それもあたしの分までもよ』
『へ〜、清楚だと思ってたけど、人は見かけに寄らないなあ』
自分が買ったと言えば恥ずかしい。春奈は当然のように智美をダシに使っていた。それどころか行為後の寝物語で、購入に至った経緯を誇張気味に喋っていたのだ。
昨日から箍が外れて浮かれ気味の春奈だったが、智美に問い詰められてふと冷静になった。
(そ、そうよね…)
自分も智美の夫の亨にピンクローターを買ったことを知られたら凄く恥ずかしい。
「い、言ってないよ…」
春奈は声を詰まらせて答えた。
(春奈さん、わかりやすいよ…)
春奈の泳いだ目で智美はそのウソを見抜いた。
「信じられない!どうしてバラすのよ!もう明さんに顔を合わせられないじゃないのよ!」
「だ、大丈夫よ。智美さんはネグリジェを買っただけって言っといたから。それも普通のやつ。あたしが無理に誘ったから渋々それだけ付き合ってくれたって」
詰め寄る智美をいなしながら春奈は思い付いつくまま言葉を口にした。ここは凌ぐ一手だが…
(でも、こんな言い訳を信じるお人好しは居ないか…)
春奈が諦めかけたときだった。
「信じていいのね」
なんでも言ってみるものだ。智美は春奈の言葉に食い付いた。
(お人好しが居た♪)
春奈が満面の笑みを浮かべた。