効果検証-2
「そ、そうね…」
それも気になるが智美の目は、まだ開けていない小さな箱に注がれていた。
「うふふ、これが気になるのね」
智美の遠慮がちな視線に気づいた春奈はその箱に手を伸ばした。それを見た智美も自分の分の箱に慌てて手を伸ばした。
「うふふ、と言うことは、あたしは2個買わないでいいってことね。じゃあ、それは智美さんのおまんこ用ってことで♪」
智美は真っ赤になりながら頷いた。
箱の中身はピンクローター本体、充電器、ワイヤレスリモコン、リモコン用ボタン電池、それと説明書だった。
「うっわ、ぷにょぷにょしてる。さすがシリコン素材だわ」
春奈は以前使ったプラスチック製の物と比べて驚いた。また、コードがなくワイヤレスになっていることにも感心した。
「えーと『遠隔操作で女体を操れます』だって〜。えっ?『クリトリスはもとより膣の中に入れるとGスポットも刺激する理想的な形と振動。貴女を究極の絶頂へ導きます』ってマジですかー!」
説明書を読みながらはしゃぐ春奈を尻目に、気の急いた智美の指先はその数行先をなぞっていた。それらのことはネットの評価で学習済みで、智美は使用方法とセッティングの仕方を探していたのだ。
「これは…」
文字を追っていた智美の指先がピタリと止まり、その目が見開かれた。
「ん?」
智美の異変に春奈が気づき、智美が持つ説明書を覗き込んだ。
「『充電済みのため、直ぐにお試しいただけます』って書いてるね」
智美の耳元で指で示された文字を春奈は声を出して読んだ。
「ヒッ!」
春奈の声にドキリとした智美はサッと説明書を胸に抱いて隠した。
「そんなにびっくりしなくてもいいじゃない。うふふ、さっきからもじもじしてるけど、もしかして昨日のあたしみたいに、用事ができたんじゃないの?」
「うっ…」
図星だった。昨日、春奈が【用事】と称したオナニーをした智美。今日の股間は昨日以上に疼いていた。
「今さら隠さないの。実はあたしも用事ができちゃったみたいなの」
春奈も腰をもじもじさせながら言った。
「そ、そうなの。じゃ、じゃあ、あたし、邪魔しちゃ悪いから帰るね」
渡りに船。智美は腰を上げかけた。しかし、智美のうろたえる姿を楽しむ春奈はそれを手で制した。
「ちょっと待って。多分同じ用事だから、ここで済ませちゃったら」
春奈は意味深な笑みを浮かべた。
「えっ!」
「だって智美さん、メカ音痴でしょ。テレビの録画予約も苦手だって言ってたじゃないの。使えるようにセッティングできる?」
確かにそれが心配だった。文系は得意だが、メカ系の操作は身体が受け付けないのだ。
「た、多分…」
「いいからいいから。まずはリモコンの電池を入れないとね。ボタン電池の入れ方わかる?」
智美は首をプルプルと左右に振った。
「じゃあ決まりね。慌てて帰っても使えなきゃ意味ないでしょ。見てて。えーと、電池の蓋を外すのには…」
手先が器用な春奈は躊躇せずに蓋を開けると素早くボタン電池をセットした。
「今ので入れ方わかった?このスイッチ長押しで起動、そのまま押す毎に強くなるみたい。止めるにも長押しね。こっちのスイッチがパターンね。3回押すとGスポットに最適だって。これならメカ音痴でも使えるでしょ」
「う、うん」
しっかりと手順を頭に叩き込みながら智美は思った。
(そっか。『用事』って言いながら、ピンクローターに興味を持ったあたしをからかっただけなのね。ホントは電池の入れ方を教えてくれただけなのに『一緒にオナニーする』って勘違いしてた。ホントにあたしってバカみたい…)
1人で納得し、安堵した智美は反省しながら春奈に倣ってリモコンの蓋を外した。
「さて…」
ボタン電池の向きに悩む智美を尻目に、準備を終えた春奈は立ち上がるとスカートを捲って下着を脱ぎ始めた。
「ちょ、ちょっとお!なにしてるのよ!」
自分自身を『バカみたい』と反省までしたにも拘わらず、結局、目の前で下着を脱がれた智美は驚きの声を上げた。