プロローグ-3
「…かっ……」
「?ジュリア?」
「…っわいぃー!」
ずっと下を向いていて見れなかった少年の素顔に、ジュリアは思わず歓声をあげた。
「男の子よね?!女の子じゃないわよね!?もうなんって可愛いのかしらっ!」
あまりのジュリアの驚きように、好奇心をかき立てられたユウが、ちらっと少年の顔を覗き込む。
「…おぉ…、お?…あっ…うん…。」
「何言ってるのユウ。」
少年もユウとジュリアの顔を初めてまじまじと見た。
色白な肌に良く栄える見事なブロンドの髪と、くりくりした青い瞳を持つ可愛らしい少女のようなジュリア。
すらっと背が高く、漆黒の髪と切れ長の漆黒の瞳が、端正な顔立ちを余計に引き立てているユウ。
「そういえば、お腹空いたでしょう?用意できてるから食事にしましょ。」
「そうだな。おうっ、行くぞ坊主。」
ユウの手が、すっと少年の前に伸ばされる。
きょとんとその手を見つめる少年。
「どうした坊主?ほら、手。」
手の意味を理解した少年が、そっとユウの手を握り、ほころばせた顔をにこっと緩めた。
「━…うんっ!」
「坊主、家には慣れたか?」
低い声が、程良く広いリビングに響く。
「うん!ユウさんもジュリアさんも、とっても優しい!」
「そうか。…それで、もしお前が良かったら、正式に養子として…家に来ないか?もうすぐジュリアの子供も生まれる。いきなり兄ちゃんになるなんて嫌かもしれないし、髪の色も目の色もバラバラで、何の一体感もないかもしれないが、俺達はお前を息子として家に迎えたいんだ。どうだ、嫌か?」
思いもよらないユウの言葉に驚く少年。
おろおろと辺りに目を泳がせ、そわそわと落ち着かないような様子を見せる。
「でっ…でも…、僕なんか…、どこの誰かもわかんなくて…」
「どこの誰かわかんないんだったら、ここの子になればいいだろう?」
「でも…」
「坊主は、俺やジュリアがパパとママじゃ不満か?」
「そんなことないっ…!」
その言葉を聞き、ユウがにぃっと笑った。
「…じゃあ、お前は今日から俺達の息子だ。━…ギン。」