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プロローグ
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プロローグ-2

***



白と水色のタイルが交互に並んでいる、水蒸気で湿った壁。
シャワーの音も、泡の擦れる音も反響して、何もかもが大きく聞こえる。

「全く。ジュリアの妄想癖はいつになったら治るんだ…。」

少年の頭を洗いながら、二回目のため息を吐きながらユウが呟く。

「それにしても珍しいな、銀髪ってのは。生まれて初めて見た。白髪なら沢山見たが…。…まぁここいらじゃ黒髪黒目もあんまりいないがな。」

ははっと短く笑いながら、左サイドについている蛇口をくるっと捻る。
少年の頭の真上で待機していたシャワー口から、一気に大量の湯が少年に降り注ぐ。
見る見るうちに泡は流れ落ち、銀色をした髪の毛が姿を現す。

「…━っし!そろそろあがるか。腹も減ってきただろ?俺ももう減りすぎて感覚ないくらいだし。」

ギィっと風呂場のドアを開ける。すると、ジュリアが白いバスタオルを横一杯に広げ、満面の笑顔で待ちかまえていた。

「…俺…を待ってたのか?」

「そんなわけないでしょッ!」

「…ですよね。」

ジュリアの優しい笑顔が少年に向けられる。
少年を催促するように何度も頷くジュリアを見て、ゆっくりとジュリアに近づいていく少年。

「お風呂、気持ちよかった?雨で濡れて寒かったでしょう。」

少年の頭から始まり、全身の水滴を余すことなく拭き取る。

「服、ボロボロだったから新しいのを用意したわ。と言っても、私のお古の服だけど…。」

白い無地のTシャツとデニムの半ズボンが用意されてある。それと、大きめのトランクス。
「…やっぱりユウのトランクスじゃちょっと大きすぎたわね…。」

ぶかぶかのトランクスをはく少年を、ジュリアが含み笑いを交えて見つめている。

「でも、まっ、今日だけだし大丈夫よねっ!さっ!髪乾かしてあげる。」

ささっと少年に服を着せると、手元にあったドライヤーのスイッチを入れる。
独特の機械音と共に、温かい熱風が少年の後頭部辺りで行き来する。
濡れて固まりを作っていた髪の水分がとれ、本来の姿へと戻っていく。

「や〜ん!ふっわふわ〜!すっごい気持ちいい〜!」

少年の乾いた猫っ毛の髪の手触りの良さに、ジュリアはたまらず頬を擦り寄せた。

「こらっ、坊主が困ってるだろ!」

「だって、もうふわふわのさらさらで…」

少年が初めて顔を上げた。
灰緑色の瞳が、ジュリアの青い瞳をじっと見つめる。


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