特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』act.1-8
悶々と考えていたら、いつの間にか指さえも引き抜かれていた。
肩で息をしながら、首だけで後ろを振り向くと、コンドームを装着した二人と目が合った。
「飛鳥、ヤラシイかっこ」
くすくすと草野が笑う。もうずっと、お尻を上に向けた後背位の状態だ。愛撫が止んでも足に力が入らなくて、この状態。
飛鳥はやっと気付いて、ペタンとお尻を落とし俯せになった。
「いー眺めだったのに、余計な事言うなよ」
口を尖らせた日立が言う。
「それよりさ、飛鳥」
急に真面目な声で草野が声を掛ける。日立も真剣な顔つきだ。
「ん?」
もそもそと二人の前に正座をする。恥ずかしいのか、そばに有ったワイシャツで前を隠している。
「俺達、飛鳥の中に入りたいんだ」
あまりにもストレートに言う草野に面食らってしまい、飛鳥は俯いてしまう。
「でもさ、飛鳥の身体は一つだろ。だから…」
「どっちか選んでくれ」
言いにくそうな草野に代わり、日立が核心を告げた。草野も同じ気持ちだぢたのだろう。ゆっくりと頷いた。
「…やっぱり、初めてっつーのは好きな奴とが良いだろ?」
この男達なりの気遣い。
二人で決めたのだろう。争う様に飛鳥を愛撫し、気付いた結果なのかも知れない。
だけど飛鳥は…
「あたし、…二人がいい。キスの時にも…言ったでしょ。……二人にあげたいって」
飛鳥の二人に対する気持ちは軽いものでは無かった。二人への信頼は、飛鳥の全てだ。人から何と非難されようとも、貫きたい、そう強い気持ちが飛鳥をつき動かしているのだ。
「呆れちゃうよね…。でも正直な気持ちなんだよ。」
俯く飛鳥の膝の上で、ワイシャツに小さな染みが落とされていった。
…それは、涙………
「飛鳥…」
掠れた声。いくら鈍感な日立でも解る。飛鳥の自分達を思う気持ち。
「二人が…好き、じゃ、だめ?…あたしは、二人と…」
「わかってる。わかってるよ、飛鳥」
涙目で話す飛鳥。
日に焼けた腕と、やや細めの腕が飛鳥を包み込む。
重なり合う様に、大事な物を包む様に。日立と草野は、愛しいこの男勝りな女の子をぎゅっと抱き締めた。
「ごめん…ごめ…」
「悪くない。飛鳥は何も悪くない。…ううん。それどころか、嬉しいよ」
「ああ、俺も飛鳥がこの選択をしてくれて、すっげー嬉しい」
抱き締めたまま、男達は飛鳥のつむじに頬を寄せる。真っ黒いショートヘアーが少年みたいだが…身体は立派な女。愛しい、愛しい、俺達の飛鳥。
「三人で、気持ち良くなろ…」
初めと同じように、三人の唇が…一つに重なった――――。