特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』act.1-11
…体力はまだまだ余ってる。そう言っているかの様だ。…いや、実際言っているのだが。
「飛鳥、俺も課題まで後少しかな」
びらっとレポート用紙を突き出す。
『課題:女性の神秘を探れ。三つの穴から伝わる快感を比較せよ』
飛鳥の肩がわなわなと震える。
「あんた達、あたしは、今日はもう駄目だかんねっ」
キッと睨む。足はガクガク、ソコはジクジク痛いのだ。
「別に、今すぐ何て言ってねぇだろ」
けけけっ、と日立がからかう様に鼻ピンをするが、何と言うか…可愛くて仕方が無い様子だ。
「あ、提出日まで二週間しかないじゃん」
そりゃそうか…と自問自答する草野に、疑問符で一杯の二人。
「ああ…、これ。俺達の課題はわりとすぐ出来るけど…飛鳥の課題は、ねぇ?」
ぴらぴらと空を泳ぐレポート用紙。
『課題:男性性器を身体全てで味わい、どこが一番絶頂を迎えやすいか調べよ』
「これはまた…」
「飛鳥、次第だよな」
顔をソファーに埋めて飛鳥は沈没した。二人の言ってる意味はそれとなく解る。
「大丈夫。二週間で開発してやるからよ」
犬歯を剥き出して日立は笑う。
「飛鳥は感度か良いから二週間経たずに提出出来るって」
草野も笑いながら頭をイイコイイコする。
「二週間じゃなくて…」
真っ赤になりながら飛鳥が呟く。
「ずっと、ずっと…三人で、だからね。………雄一!光久!」
耳まで紅くして飛鳥は笑った。
目を丸くしながら、二人にも笑みが溢れる。
また、唇が近付く。
そして
三人の影は一つに重なるのだった――
3年5組3番 草野雄一
3年5組21番 日立光久
3年5組38番 水城飛鳥
「へぇ…ちゃんと提出出来たのか」
化学準備室の机に置かれた3冊のレポート用紙を眺め、大河内は犬歯を覗かせた。
内ポケットから煙草を取り、手首のスナップを利かせて一本取り出す。
机に置いてあるZIPPO(オイルライター)で火をつける。カチンッ…と音だけが、この狭い部屋に響く。
紫煙が一瞬、辺りを白く染める。
「若いっていいねぇ。複数プレイまでは予測出来なかったけど」
くくくくくっ…
大河内は長い足を組みながら、窓の外に視界を移す。
ちょうど三人揃って並んで歩いているのが見える。
(俺が居ないうちに三人でコレを置いて帰ったのか)
「まぁ、いい」
呟きながら煙草を灰皿に擦りつける。
(三人で一人の女を抱く…んな詰まんねぇ事には興味ないんでね)
大河内のゲームはまだ始まったばかり。
残りは、十二名だ―――
《3人の秘密》FIN.