回り始めた歯車-1
「(僕も電車で乃亜ちゃんと痴漢プレイしてみたいなぁ…。でも学校の生徒に見られたらカップルとも言い訳できないし…。)」
乃亜と遠藤が2回目の痴漢プレイをしている木曜日の夜、葵から連絡が入る。
アリサが次の土曜日に仕事が休みとのことで、明日の金曜日の夜から葵が泊まりに行くらしい。
接近できるチャンスに股間が疼き出す。
「(くくっ……ついにアリサちゃんと…。事前に葵には作戦は伝えておいたからな……ぬかりなく頼んだよぉ…。)」
そして金曜日の夜になり同じマンションに住むアリサの部屋に行く前に葵がやって来る。
「ちゅ…っ、ちゅぱっ……ん、はぁ…。んっ……じゃあ頼んだよぉ?僕を喜ばせるのが彼女である葵の役目だからね…?」
「んぁ…はぁ……。はい、分かりましたぁ…♡」
激しいキスに目を蕩けさせ従順に従う葵をぎゅっと抱き締めて送り出す。
葵がアリサの部屋の前に立ちインターホンを鳴らすとすぐにドアが開く。
「葵ちゃん!会いたかったよぉ…っ!」
「わわっ…!あぅ……私もだよぉ。」
目を合わせるなり抱きついてくるアリサに驚いてポンポンと背中を叩く。
身体から離れて部屋の中に入りアリサの服装に首を傾げる。
「アリサちゃん……どうしてメイド服なの?」
「あ……えっと、今日はこの服で撮影だったから気に入っちゃって…。葵ちゃんに似合うと思って…。」
メイド服のアリサがハンガーにかけていたメイド服を葵に差し出す。
「え……?き、着るの?」
「うんっ!メイド姿の葵ちゃん、絶対可愛いよぉ…。ほら、早く早くっ!」
作戦に移る前にアリサに強引に進められメイド服に着替えさせられて、恥ずかしそうにアリサの前に登場すると強く抱き締められソファに倒れ込む。
「可愛すぎるよぉ!うぅ……ちゅーしていい…?」
「えぇっ!?ちょっ……んぐっ…ん、だめ…っ…。」
レズ疑惑のあるアリサが葵に強引にキスを始める。
以前から2人きりの時にキスされるということは藤野にも伝えていて、案の定今日もキスを迫られた。
「ん…んふ…ん……。ん、葵ちゃん…?なんか、いつもと違う匂い……。誰かと…ちゅーした?」
「あ……えっと、その…。彼氏……できて…。」
「え……か、彼氏…?そうなんだ…。」
アリサに覆い被さられたまま沈黙となり、気まずさをかき消すように葵が話し始める。
「彼氏すっごく優しくて大好きなんだよぉ。年上で包容力もあって…。喜ぶこと何でもしたくなっちゃう♡」
藤野の指示通りアリサに彼氏自慢を繰り返しているとアリサは身体から離れて明らかに不機嫌な態度となっていく。
「へぇ、そっか。あーあ……着替えよっかな。」
「あ、それでね…その彼氏なんだけど実はこのマンションに住んでるんだよぉ?さっきまで彼氏のとこ行ってて…。アリサちゃんにも紹介しようと思うんだけど……今から呼んでもいいかなぁ?」
一気に冷めた態度で着替えに行こうとするアリサを呼び止め藤野を紹介するように伝えると困り顔となる。
「でも……事務所に異性とは会わないようにって言われてるから…。」
「だ、大丈夫だって!本当に信用できる人だし、秘密守れる人だから…。電話するね!」
葵には珍しく強引に話を進めアリサの返事も待たずに電話を始める。
「あ…ちょ、ちょっと…っ!」
「もしもし?前に言ってた親友に紹介したいんだけど…今から大丈夫ですか?うん…うん……はぁい。待ってます♡」
電話を切りさらに不機嫌になっているアリサの心中を察して心苦しくなるが心酔している藤野のために作戦通りに進めていく。
アリサの部屋に向かい股間を熱くさせて、自然に卑猥な笑みが零れてしまう。
「(よしよし…。アリサはきっとレズで…大好きな葵が自慢する彼氏をまず毛嫌いするはず…。そして現れるのが僕みたいなキモオタ……ふふ。)」
最低の彼氏を演じることでアリサに葵を別れさせようと思い込ませて、そこに漬け込み弱みを握ろうとしている。
「(仮に失敗しても芸能人が異性と会っていた…なんて公にしたくないのは必然…。まぁ…失敗するはずがないけどね……くくっ。)」
いつになく自信満々で、意気揚々とアリサの部屋の前に立つとインターホンを鳴らす。
「あ…来た。呼んでくるね?待ってて。」
ドアを開け藤野を招き入れる葵と目を合わせて微笑むとどこか浮かれない表情をしていて、それが嫉妬心から来るものであると分かれば耳元に顔を近づけ囁く。
「うまくいけば…また葵のこと好きになりそうだよ…。しっかり頼むよぉ…?」
葵をその気にさせて耳にキスをするとくすぐったさに身体を捩らせ、お尻に手を回し撫でるとその様子をアリサに見られていて、それでも離れることなくリビングに入っていく。
「アリサちゃん、この人…彼氏の藤野先生…。」
「はじめまして…藍川アリサちゃん…。」
「(こんな人が彼氏…?それに、先生…?)は、はじめまして…。」
明らかに中年の見た目も醜い藤野を見るなり表情を引きつらせている。
「うはぁ……やっぱり生で見るアリサちゃんってすっごい可愛いねぇ…。メイド服も似合ってるよぉ?」
「もぉ…。ジロジロ見過ぎだよ…っ!んんっ……ちょっ…んぐっ…。」
嫉妬する葵に堂々とアリサの前で濃密なキスを見せつける。
「(えぇ…。こんな目の前で……。本当にこんな変な人と付き合ってるの…?)」
キスから離れてもお尻を撫で回したままでいると葵が顔を真っ赤にさせて指摘してくる。
「は、恥ずかしいから……やめてください…。」
「あはっ…そうだねぇ。普段通りは恥ずかしいかぁ…。続きはまた後でアリサちゃんいない時にね…?」
「(つ、続き…?葵ちゃん……もしかしてこの人ともう…?)……葵ちゃん、彼氏の…藤野さん?えっと…ご挨拶終わったからもう……。今日は私と2人で…。」
撫で回していたお尻を離し帰って欲しいような素振りを見せるアリサに反して勝手にソファに座り出す。