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約束のピンキーリング
【女性向け 官能小説】

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プロジェクトも終盤に差し掛かってきたとき
秘書課に用事があって夕方近くに会議室の階に降りると
給湯室で何やら話し声が聞こえて

コーヒーを淹れてるの?

近づくにつれその声が鮮明になった。

「は?俺結婚する気なんか全くないよ?」

周りの笑い声とは裏腹に
岡本主任の真剣な、冷めた口調が聞こえて来て

あぁ、やっぱり―――

それが瞬時に思った感想だった。

小さく手が震えて、左手の小指にはまっているピンキーリングを右手で必死に探す。

ゆっくりとその場を離れて
そっと、今さっきのってきたエレベーターに再び飛び乗る。

無意識のうちに触っていたのはピンキーリングで

大丈夫。

やっぱり無意識のうちに自分に言い聞かせる

大丈夫。
まだ本気になってないから。

大丈夫。

何、が?

大丈夫なの?

本当に?

大丈夫。

どこが?

訳の分からない言葉の羅列が次々と頭に浮かんで
私は、考えるのを止める以外・・・


涙を止める術を知らなかった―――





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