亜紀-30
「逃げるくらいならわざわざ透けるネグリジェ買いに行ったりしません」
「何? ああ、昼間買い物に行くと言ったのはこれを買いに行ったのか」
「そう」
「管長補佐と張り合って透け透けを着ようっていう訳か」
「だって透けた体見て出たって言うから」
「男はしょうが無い、そういう風に出来ているんだ」
「嘘、私を見た時には立っていなかったじゃないの」
「いや、薄ぼんやりした明かりだったから良く見えなかった」
「灯かりを明るくしても立っていなかったじゃない」
「眩しくて良く見えなかった」
「ああ言えばこう言うなんだから」
「もう口を利くな。ホラッ」
「あっ」
亜紀はやはり女だった。子供だ子供だと思っていたが、健介の体の下で健介を受け入れている顔や体は成熟した女以外の何物でもない。管長補佐のような妖艶さは無いが、可愛らしい色気は十分にある。
愛撫と言えるようなこともしないで健介は亜紀の中に入って行った。そこは既に十分すぎるほど濡れていたので抵抗もなくすんなりと入った。「ああ」と漏らして亜紀はのけぞった。その顔の可愛らしいことといったらなかった。思わず、皺を寄せた眉間に口づけしてしまった。すると亜紀は顔をずらして健介の口に吸い付いてきた。2人は口と性器の2点で結合した。激しくは無いがゆっくりといたわるようなセックスだった。穏やかで深い波のような高まりが来て健介は果てた。亜紀は健介にしがみついて泣いていた。
「何故泣くんだ」
「だってやっとこうなったんだもの」
「後悔しているんだろ」
「ううん、嬉しくて泣いているの」
「悲しくて泣き、辛くて泣き、悔しくて泣き、嬉しくても泣くのか」
「だって涙が出てくるんだもの」
「どうするんだ、これから」
「結婚したい」
「僕とか?」
「そう」
「中年のバツ1とか?」
「あら、離婚じゃないからバツ1とは言わないのよ」
「そうか。それじゃ三角かな」
「三角でも四角でもいい。結婚して」
「君の両親が嘆くぞ」
「嘆かない。もう言ったもん」
「なんと言ったんだ」
「だからありのまま」
「ありのままって何と言ったんだ」
「彼は私を子供扱いして相手にしないけど、私は結婚したいと思っているって」
「子供とセックスしてしまったな」
「もう子供扱いは出来ないわよ」
「そうだな」
「愛してる?」
「何?」
「私のこと愛してる?」
「チンポを入れてる時にそういうことを聞くな」
「どうして?」
「愛していないと言って膣痙攣でも起こされたら困る」
「じゃ愛していないの?」
「だからチンポが君の体から出た後で答えてやる」
「今答えて頂戴」
「脅迫か?」
「そうよ。愛していないと言ったらこのままで無理心中しちゃう」
「どうやって?」
「膣痙攣起こして」
「ふん、それじゃ愛している」
「もっと真面目に言って」
「おふざけは君の得意じゃないか」
「今だけでいいから真面目に言って。真面目に愛していると言って」
「ああ、愛している」
「有り難う」