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痴漢専用車両へようこそ
【痴漢/痴女 官能小説】

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結婚式-3

宮本のアナウンスで新郎新婦が退場すると、その閉められたばかりの扉のところで、由香里が手招いていた。

「しばらくご歓談ください」

アナウンスを終えた宮本は、マイクを置いて小走りに由香里の元へと急いだ。

「時間がないから急いでください」

先に進み始めた由香里の言葉に宮本は頭を捻った。

「そんなに急がなくても時間なら十分なはずだけど…」

進行役を受けた時に、一般的な結婚式の進行時間を調べたが、今回のお色直しは通常より随分長く取っていたからだ。

「うふふ、花嫁のために、できるだけ早く行ってあげたいんです」

エレベーターの前で止まり、操作ボタンを押しながら由香里が答えた。

「どういう意味?」と聞こうとしたが、丁度停止中だったエレベーターの扉が開き、「行きましょ」の由香里の声に遮られて聞きそびれた。

無人のエレベーターの中に由香里に続いて宮本が入った。階数ボタンを押した由香里が入口の脇に立ち、奥に進んだ宮本は、そのままガラスの外の景色に目を移していた。

狭い空間に宮本と2人きりの状況に由香里の胸の動悸が速くなった。しかし、その動悸はそれまで由香里が示していたような、性的な意味合いのモノではなかった。

(宮本さん…)

きゅんとなった由香里の脳裏に【痴漢専用車両】の一連の騒動の出来事が思い返された。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

走行中の【痴漢専用車両】の予備車両。

「優子ちゃん…」

不安げな表情を浮かべた由香里が、悪意の念を飛ばす美咲と対峙する優子の様子を連結通路越しに見守っていた。

浅見の下敷きになっていた雄一は、プレイヤー達に助け出されはしたが、直ぐに動ける状態ではなく、雄一の仲間の田川と乾は意識を無くしていた。何とかジョンを倒した星司だったが、その星司までも各務の闇の悪意に昏倒している状態だった。また、反対側の予備車両では、吉田が動けない状態だった。

そんな闘える者達が満身創痍の中、雄一に掌底打ちを決められた啓太が、苦し気ではあるがゆっくりと身を起こしたのだ。

「くっ…、全員ぶち殺してやる…」

車両内を一瞥した啓太が吐き捨てるように言った。

「お、お前も寝てやがれ!」

慌てたプレイヤーの1人が手にした角材を振り下ろした。

ガッ!

向かってくる角材を啓太がフックで弾くと、その衝撃で手から角材が弾け飛んだプレイヤーは一瞬で戦意を喪失してしまった。

「なめんなよ」

啓太は遠巻きに囲むプレイヤー達を睨みながらゆっくりと立ち上がった。

「ヒッ…」

その様子を見ていた由香里が息を飲んだ時だった。由香里の居る予備車両の外から窓ガラスを叩く者が居た。

「えっ!な、何っ!」

予備車輛の窓の一部には、外の様子を伺うためにブラインドを下ろしていない箇所があった。ドキリとした由香里が窓の外に視線を向けると、あり得ないことに走る車両の外からにこやかに微笑む宮本が手を振っていた。

「うそ…」

片手にパラシュートコードを巻き付けた宮本は、後ろに下がるような仕草をすると、ベルトに差し込んだ小振りのハンマーを手にして、窓ガラスに向かってそれを振るった。



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