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痴漢専用車両へようこそ
【痴漢/痴女 官能小説】

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結婚式-4

グシャッ!

その自動車脱出用ハンマーのピンポイントの衝撃で、強化ガラスの窓が一瞬で粉々になった。

楽々と車内に乗り込んできた宮本は、パラシュートコードが車輪に巻き込まないように、その端を吊棚に絡み付けた。

宮本はサバイバルマニアだ。この緊急用のハンマーの他には、軍手、サバイバルナイフ、鉤フック、100mのパラシュートコード、ガムテープ、ビニールテープ、遮熱シート、ごみ袋、トイレットペーパー、米軍用ドライフード等が背負ったリュックの中にコンパクトに納められ、宮本はそのセットを自宅、会社、そして自身の車の中に常備させていた。特に今までぶら下がっていた直径3mmで約150kgの重さまで耐えられるパラシュートコードは、多用途に使えてサバイバルでは重宝されている。

乗車駅で浅見に昏倒された宮本だったが、気力で回復を果たすと、そのリュックを背負い、一緒に駅担当だった本庄のバイクを借りて電車を追いかけてきたのだった。

「由香里先生、大丈夫ですか」

頼もしい仲間の登場に、由香里の目からぽろぽろと涙が溢れてきた。

「宮本さん…」

にこやかに微笑む宮本に声をかけられて、由香里はまるで映画のヒロインになったような感動を覚えた。しかし、今はそれに浸っている場合じゃなかった。

「宮本さん!みんなを助けて!」

目に涙を浮かべた由香里の悲痛な声で、宮本のにこやかな笑みが一瞬で厳しい表情になった。頼もしい表情だった。

「4回戦ボーイか」

宮本はメイン車両に目を向けて状況を把握すると、啓太を目掛けて一気に駆けだした。

「何でお前が!」

駅で昏倒しているはずの宮本の登場に驚いた啓太だったが、直ぐにファイティングポーズで待ち構えた。しかし、ジョンと渡り合った宮本にとっては、現役を退いた4回戦ボーイの構えは隙だらけに映った。

宮本の勢いに合わせて啓太がカウンターを狙うと、宮本はそれをスウェー気味にかわして、滑り込むような体勢で啓太の太ももに蹴りを打ち込んだ。

ビシッ!

肉を打つ乾いた音が車内に響いた。顔を歪ませながら崩れる啓太の顎に、宮本が下から掌底を打ち込んだ。衝撃で後ろに飛んだ啓太はジョンの上に倒れ込んだ。

登場からの一部始終を目の当たりにした由香里にとって、宮本が唯一無二のヒーローになった瞬間だった。

全ての問題が解決し、終着駅に着くまでの間、由香里は自身の女体をヒーローに捧げて激しく燃え上がった。

それ以来、宮本の事が頭から離れなくなり、由香里の心の中に数年来無かった恋心が芽生えてきたのだった。

宮本の事を考え、純粋に恋人として付き合いたいと思いはするが、その一方では相変わらず淫らな部分が疼いて仕方がなかった。

陽子が運営を続けている【痴漢専用車両】のサイトに入っては、ライブチャットで自慰行為を披露しながら、その疼きを鎮めていた。

自慰行為の後では決まって落ち込むが、由香里はそれをやめることができなかった。

(こんな淫らな女に好意を持たれたら迷惑よね…)

教師の目から見れば、宮本が昔はやんちゃだったことはわかる。社会に出てそれが抜け、少し落ち着きの出てきた宮本は、客観的に見ても魅力的だった。仲間内の話を漏れ聞いても、言い寄る女は後を立たないみたいだ。

(ヒーローにはそれに見合う素敵なヒロインでないと…)

淫らな嗜好を周知されている由香里は、宮本のヒロインになることは諦めていた。かといって、宮本に恋い焦がれながら、相応しいヒロインの登場を待つのは辛すぎた。

(宮本さん…)

心ここに在らずの状態で、授業に支障をきたすことも多くなってきた。

「先生、大丈夫ですか?」

生徒から心配される声も1度や2度ではなかった。人気者の由香里はまだ糾弾されるまでには至らなかったがそれも時間の問題だった。


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