ターゲットの美少女-1
私がその少女を初めて見かけたのは、このGWのことだった。お台場にあるTV局恒例のイベント。そこは多くの子どもたちが集まるスポットでもあり、少女マニアの私には欠かすことのできない催し物であった。
小学校高学年と思しきその少女は、友達4人とそのイベントに来ていた。4人ともモデルかダンスをしているといった雰囲気で、いずれ劣らぬおしゃれな美少女達だったが、その中でも群を抜いていた。純白のコットンワンピはミニ丈で、スレンダーな少女によく似合っていた。胸の膨らみも楚々としていて、まさに私にとって「弩ストライク」といっていい体型である。
髪の毛をサイドテールに垂らし、顔はうっすらメイクをしているようだが、目鼻立ちがはっきりしておりあどけない中にも品の良さを感じさせる少女だった。
私は半日、彼女達を付け回し、隙を見て何枚か写真を撮ることにも成功した。通常であれば少女ウォッチングだけで満足してしまうのだが、この日の私は衝動を抑えることができなかった。どうしてもその少女の住まいを知りたくて後をつけてみた。
丸半日付け回していたので、純白ワンピの少女の名前が「マナミ」ということがわかった。仲間からは「マナ」と呼ばれ、自分でも一人称を「マナ」とか「マナミ」と言っていたのですぐに知ることができた。
少女たちは、お台場でのイベントの話に花を咲かせることに夢中で、どこにでもいる平凡な中年男の私の存在になど気がつこうはずもなかった。途中で1人別の駅で降りたが、残り3人が23区内の私鉄の駅から徒歩で帰るときも、まったく周囲に気を配ることなく互いの会話に興じていた。そして「マナミ」は3人の中で一番最初に、近隣では大きな敷地の一軒家に吸い込まれていった。仲間達と名残惜しそうに手を振り玄関に入るのを確認し、ややあって、2階の一部屋の明かりが灯った。「あの部屋が彼女の部屋なんだ」、そう確信した私は、まるで思春期の少年のように心が躍った。石張りの重厚感のある門柱に埋め込まれた表札には「塚本」と記されている。それを確認してその日は帰路についた。
それからの私は「塚本マナミ」とその家族の行動を観察する日々が続いた。フリーの雑誌ライターと言う職業の私は、数本の雑誌社と契約しルポを書いている。取材で地方に出ることもあるが基本は在宅の仕事で、記事の受け渡しもメールになるので勤め人とは違い時間が拘束されていない。とはいえ、あまり頻繁に出没すれば不審者として通報される危険がある。そこは慎重の上に慎重を重ねるようにして行動した。雑誌記者としての調査能力も幸いした。もののひと月もしない内に、「塚本マナミ」の身辺調査および家族構成等が判明した。
「愛海」と書いて「まなみ」と読ませること。徒歩10分ほどの区立の小学校に通う小学6年生で、毎朝8時に集団登校の班長として11人の児童を引率して登校すること。帰宅は水曜日だけ14時前後で、月〜金は15時半前後。火、木、土、の夕方17時にクラシックバレエに行くべく一人で家を出ること。その教室が、電車で2つ先の駅にあること。小学生Aクラスの後、一般のクラスに出て21時までレッスン、母親が車で迎えに来て帰宅すること。日曜日の午前中は9時から12時までレッスンで、行きは一人だが帰りは一人もしくは友人(お台場に行った友達)と一緒であること。帰りには時々、ファミレスやファストフードの店で昼食を採ること。日祭日は基本的に外出しないが、時折、午後から友達と出かけること。
家族構成は、父親、母親と愛海の三人家族であること。父親は外資系商社の中間管理職で早朝から出勤、23時過ぎにならないと帰宅しないこと。母親は渋谷にあるアパレル関連の会社の代表取締役で、毎朝、愛海を送り出してから車で出勤し火木土は愛海を迎えにいくが、月水金は21時過ぎに帰宅すること。
愛海の身辺を調べていく内に、いつしか私は愛海を襲うことの可能性を模索するようになっていた。どうやったらこの魅惑的な少女の身体を手に入れることが出来るのか。彼女の身辺調査をしながら、その具体的な方法を計画するようになっていた。
可能性としては、バレエのない平日が頭に浮かんだ。15時半前後に小学校から帰宅してから、母親が帰ってくるまでおよそ4時間。逃走まで含めて陵辱するには十分な時間と言えたが、どうせならもっと長い時間楽しみたい。もちろん、一度関係を持ち、それをネタに脅して二度三度と逢うことも可能かもしれないが親バレの危険性がある。捕まりたくないので一度限りの関係にするのがベストだ。そう考え、夏休みまで待つことにした。
7月の第3週の最後の金曜日、待望の夏休みになった。しかし、すぐには動かず、ここでも愛海の行動パターンを探った。昨今の小学生は「ラジオ体操」をしないようで、早朝から彼女が動くことはなかった。週に2〜3回、小学校のプールがあるようで、母親が9時に出勤した後10時過ぎに出かけて行き、12時前に帰ってきた。曜日は不定期でパターンを確認できなかったが時間は特定できた。それ以外はバレエ以外外出することもなくずっと家にいた。時折拙いピアノの音が聞こえた。ピアノを習っている様子はなかったので、おそらく以前に習っていたのだろう。昼食や夕食がどうなっているのかは不明だった。出前やデリバリーが運ばれてくることはなかった。そんな中、1度だけ宅配便の配達を受け取っているのを見た。通常は宅配便の配達が来てもインターホン越しに再配達を依頼していたようだが、そのときだけは出た。私はそこに一縷の可能性を見出した。愛海が小学生向けのファッション雑誌を愛読し、その懸賞に応募しているのを友達との会話の中から掴んでいたからだ。