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14's CHOCOLATE
【コメディ 恋愛小説】

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Future's CHOCOLATE-2

「…はぁ」
やっぱり確実に増えた。やだなぁ。ため息つくと幸せ逃げるって言うよね?じゃあ、アタシは逃がしまくってるんだろうな…。
「…泣くな、アタシ…」
自分でも気付かない間にポロポロと涙が零れていた。アタシはそれを掌で拭いて
「アタシのバカ。強くなったんでしょ?シャキッとしろっ」
と、はっきりと声に出して自分に言い聞かせた。
「コノ子?いる?」
部屋にノック音が響いて、ゆっくりドアが開いた。
「お母さん…おかえり。早かったね!」
「うん。今日は少し早く切り上げたの。仕事なら明日の朝、少し早く行けば余裕で仕上げられるから!」
お母さんは笑いながらアタシの隣に座った。
「あれ?コノ子、泣いてたぁ〜?」
悪戯っ子のように笑うお母さん。全く、相変わらず鋭いんだから…。
「高校のこと?どこ入ればいいかわかんないんでしょ。違う?」
アタシは小さい頃からお母さんに隠し事はしなかった。どうせ隠しててもなぜかすぐにバレてしまう。なら始めから言ってしまった方がいい。
「…当たり。何かどこ行けばいいかわかんなくて…」
「この二校で悩んでるんだぁ」
さっきアタシが眺めていたパンフをペラペラめくりながらお母さんは
「正反対の学校だね」
と言った。
「特色が全然違う。年間行事、資格取得の部類、教科…全部違うでしょ?」
アタシはお母さんに言われて初めて気が付いた。今まで学校の違いなんて考えたこともなかった…。全部同じ、そう思っていた。
「コノ子がしたいことって、一生懸命勉強して有名な大学に入ること?」
アタシは自分自身に問い掛ける。アタシがしたいこと…。そして、アタシは首を横に振った。
「まだあの夢は捨ててないの?」
「うん…」
「じゃあ、決まってるんじゃない?」
「でも…約束したんだもん」
哲希の笑顔が頭に浮かぶ。

『同じ高校行くんだもんな』
『頑張ろうな』

…アタシ、哲希と約束したんだもん。約束破りたくない。一緒に頑張ってきたのに、同じ目標目指して頑張ってきたのに…!
「約束って…哲希くんと?」
アタシは頷く。
「そっか…。でもねぇ、一人一人違う人間で目指すものも違うんだよ?だから、学校だって違って当たり前。高校選択ってすっごい大事なものなの…せっかく夢があるのに、それによって叶わなくなるかもしれない。友達、彼氏、いろんな人と離れたくないのはわかる。でも、結局は自分の道なの。自分に正直に決めていかなきゃいけない…」
だけど、今まで一緒だったのに…。急に離れ離れになるなんて不安だよ…。
「高校違っても何も変わらないよ。絆がしっかりしてれば今まで通り、何も変わったりしない!」
お母さんはアタシの気持ちを察したのか、明るい声でそう言った。
「それとも…あんた達の仲ってそんなことで崩れちゃうようなもんなの?」
「それは…無いと思う」
アタシと哲希は学校が違うだけで壊れる関係じゃない。少なくともアタシは、学校が離れようが遠距離になろうが哲希を好きでいられる自信がある。
「だけど…哲希は許してくれるかな?」
アタシは縋るようにお母さんを見た。こんなこと聞くなんてバカみたい。哲希が許してくれないはずないじゃん。だって、アタシを信じてくれてるから。だけど、今アタシは誰かに大丈夫だよって言ってもらいたかった。
「…大丈夫。哲希くんならきっとわかってくれる」
うん、哲希なら…アタシの夢を応援してくれる。
「お母さん、アタシ…明日ちゃんと哲希に話してみる!」
「うん。さすがお母さんの娘!前向きに頑張りなさい」
お母さんは勢い良く立ち上がるとドアに手を掛けたまま、アタシの方に向き直った。
「今度哲希くん連れてきてね!この間写真で見せてもらったでしょ?お母さん、ああいう可愛い息子が欲しかったの♪」
「息子って…取り合えず了解しました」
「うふっ、楽しみ。じゃあ下にいるからね!」
お母さんはうきうきしながら部屋を出ていった。階段の降り方がいつもより軽快な気がしなくもない…。
「…よし!」
アタシは頬をパシッと軽く叩いて、今日哲希に教えてもらったところをもう一度やってみた。今度は一人でちゃんと解けたし、しっかり理解していた。


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