「おんなの子の性(サガ)」-2
「ご、めんね」
しゅる、しゅる。解いていくベルトの中に隠された鈴子の手首には赤い線が描かれ、内出血までしていた。その光景に、京介の一物が僅かに引くついた。
「うち、きょうちゃんに……」
たどたどしい鈴子の言葉が、京介の部屋に落ちる。ごくり、と鳴る京介の喉が、酷く渇いていた。それ以上に、焼き付くほどの渇きを覚える鈴子の喉が、断絶の言葉をしたためる。
「犯されたん?」
自分の陰部や腹にねっとりと垂らされた京介の精液を指で掬いながら、鈴子が問う。
その瞳には新たな涙が浮かび、京介の一物がまた、ぴくんと跳ねた。
「どうしよう、僕、なんか男として見てほしくて、すごく女の子に思えて、あの!」
何が言いたいのかすら解からない言い訳に、鈴子はただ、身体を振るわせる。痛む身体と、心を守るように腕を抱いて、必死に涙を堪える。
「ごめんっ!」
「……アザ、出来ちゃった」
そう呟く鈴子の手が、唐突に京介の頬へと迫り……。
ぱしっ!
学校の屋上の、いつも座る場所とは反対側に座る僕の心は、荒んでいた。
「はぁ」
鈴子ちゃんに殴られて腫れた頬を撫でながら、僕は苦しい溜息を空に向かって吐きつけた。
「なんてことしちゃったんだろ」
昨日のことは、どれだけ思い返しても最低な現実だった。全てが夢だったら、と思って朝、鈴子ちゃんに会った途端、全てを認める自分が居た。その過去を思い出して、起き上がる自分の下半身が辛かった。
「好きだけど、大好きだけど」
こんな形で、しかもまだ高校にすらなっていないのに、鈴子ちゃんの身体を奪ってしまったことがひたすらに悔しかった。望まれたわけでもなく、ただ自分がそうしたくて、欲望のままに抱いてしまったのだから。嫌われるだけのことをしたという程度では済まされない。そして何より……。
「僕って……」
鈴子ちゃんが泣く姿を見て、それを喜ぶ自分を見つけてしまったのだから。
「僕って最低?」
空は僕の気持ちに反して青空だった。自分で自嘲の言葉を呟きながら、それに対する慰めを語れないことが情けなかった。
そして夜、僕は走っていた。全力で、身体中から汗を零しながら、必死で鈴子ちゃんの家へと向かっていた。
「いったい、何が」
結局、学校で鈴子ちゃんとまともに会話できなくて、憂鬱な気持ちで帰ってきた僕の携帯が、お風呂上りに鳴った。僕の携帯の番号を知っているのは、親と鈴子ちゃんだけ。
案の定、取ってみれば親達ではなく、鈴子ちゃん本人で。
『助けて! きょーちゃんっ!』
ぶちん。
たったこれだけのことを告げられて、パジャマのままで道路を走る。元々鈴子ちゃんの家は僕の家からそれほど離れていない。
まさか子供が出来たんじゃ、それとも血が止まらない? どうしよう、僕のせいで何かが……そんな気持ちでいっぱいだった。
そして辿り着いた僕が見た鈴子ちゃんの姿。その憐れな姿に、僕は言葉を失って。
スカートを捲し上げ、下半身の先から何か真っ白い棒を垂らした鈴子ちゃんが、顔を真っ赤にして僕を出迎えてくれた。
「と、取れなく、なった」
「な、何やってるのさ」
ベッドの上に転がり、震える足を開きながら、鈴子ちゃんが顔を手の平で覆い隠す。何よりも繊細な鈴子ちゃんの陰部に埋もれた飴の棒に、僕は手を掛ける。
最初は濡れていたらしい飴玉は、乾いた空気のせいで、鈴子ちゃんの大事な秘部に埋もれていた。
まるで昨日のことなど忘れたように、いや、忘れてないからこそ、こんなことされても平気なのかもしれない、なんていう思考がうごめく中、僕は指に力を込める。