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悠子
【その他 官能小説】

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悠子-4

 「今年の1月に成人式をやりました」
 「へえ。どうも年取ったら若い女の子の年が分からなくなってね。近頃は高校生もOLも皆同じに見える」
 「おじさんいくつなんですか?」
 「45」
 「わあ。若く見える」
 「頭が空っぽだから」
 「厭だ。自分でそんなこと言う人に馬鹿はいないですよ」
 「そうだといいけど。ところで、うちで働くと言ってくれるのは嬉しいんだけども水商売の経験はあるの?」
 「あります。昨日までやってましたから」
 「ほう? 何処で?」
 「『かきくけこ』って店知ってますか?」
 「ああ、それはピンク・サロンじゃないか」
 「ええ、その上にある『ボンソワール』って店です」
 「驚いた。ピンク・サロンで働いていたのかと思った」
 「私がピンサロで働いてたら驚くんですか?」
 「だって君のような可愛い子がそんな所で働いていたって言えばそれは驚くさ」
 「どうしてですか?」
 「ああいう所は30過ぎのおばさんが働く所だろう」
 「おじさんはピンサロに行ったことが無いんですね」
 「無いな」
 「そういう店で働いている女の子は嫌いですか?」
 「さあ。そういう店で働いている女性に知り合いはいないから」
 「もし私が働いていたって言ったらどうですか」
 「どうですかとは?」
 「私のこと汚らわしいと思いますか?」
 「別にそうは思わないな。たとえソープランドで働いていたとしても汚らわしいということは無いと思うよ」
 「本当ですか?」
 「ああ。職業に貴賤は無い」
 「何ですか、それ」
 「あ、どんな仕事も仕事としての価値に違いは無いっていう意味」
 「でも、ソープランドってセックスする所なんですよ」
 「それくらいは知っているよ」
 「それでも仕事ならいいって言うんですか?」
 「最近の若い人は付き合うと直ぐセックスするらしいじゃないか。それと売春とどう違うんだ」
 「だって売春はお金を貰ってセックスするんじゃないですか」
 「似たようなもんだ。セックスに変わりは無いさ」
 「おじさん見かけによらず過激な思想家なんですね」
 「思想家とは恐れ入ったな。君ね、ソープランドで働いている女性を馬鹿にしてはいけないよ。あれも立派な仕事なんだ」
 「ソープ・ランドは良く行くんですか?」
 「行ったことは無いな」
 「それじゃどうして立派な仕事かどうか分かるんですか」
 「君ね。今まで会ったことも無い人と金の為にセックスできるかい? たとえコンドームはするとしてもそいつは病気を持っているかも知れないし、病気を持ってなくても体が汚くて口が臭いかも知れない。おっぱいに噛みついたりクリトリスを乱暴にいじくったりするかも知れない。お金を貰えるならそういう不安を抑えて知らない人とセックス出来るかい?」
 「出来ません」
 「そうだろう。普通は出来ないよな。その普通では出来ないようなことをしているんだから、彼女達は立派なプロフェッショナルじゃないか。僕はそう思うよ」
 「でもそれじゃ、ソープランドで働いている人と結婚出来ますか?」
 「ソープランドには行かないからそういう人と知り合う機会は無いけど、なんかのきっかけで知り合いになった人がソープランドで働いていると分かっても別にそれで厭になったりはしないよ」
 「本当ですか?」
 「ああ」
 「口だけでしょう」
 「いや、昔娼婦と結婚しようと思ったことがある」
 「昔はソープランドに行ったんですか?」
 「ソープランドじゃない。茨城県の土浦という所にリトル・バンコクと呼ばれる場所があってね。タイの女性が働いている飲み屋が沢山集まっていたんだ。今でもあるのかどうか知らないけど。彼女達は店で働いても給料は一銭も貰えない。店に来た客に指名されて一緒にホテルに行くということになって初めて金が貰える。お客は飲みに行くんではなくて初めから女を買いに行くんだ。その店で指名するのは一緒に飲むためではない。ホテルに行くために指名するんだ。気に入った子を選んで、店に金を払うと、店の車でホテルに連れて行かれ、朝になると又店から車が迎えに来て、駅まで送ってくれるんだ。そういうシステムなんだよ」
 「そこへ行ったんですか?」
 「ああ」
 「そういう所が好きなんですか?」
 「いや、好きということは無いけどちょっと事情があって1回だけ行ったんだ」


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