悠子-28
「どうだった?」
「うん。久しぶりなんで感じた」
「そう。私も感じた。感じただけじゃなくて凄く幸せだった」
「セックスって幸せなもんなんだよ。だって喧嘩してる時にセックスなんてしたいと思わないだろ?」
「そうね。でも前の彼とはしょっちゅう喧嘩してたわ。喧嘩しててもやることはやらせろって感じだったし」
「そうか。それは精力が強いんだな」
「違うわ。単に私とやりたいだけだったのよ。だから私の気持ちとか自分の気持ちとかそんなことどうでもいいの。ただやりたいだけ」
「それはいかんなあ。相手がやりたくないと自分もやりたくなくなってしまうもんだけどなあ」
「だからそれが正常なのよ。愛し合ってるってことなんだわ」
「愛し合ってなくてもやりたくない人を相手にセックスなんて出来るもんかなあ。それはレイプと紙一重なんじゃないのか」
「まあそんなようなもんよ」
「それでビデオ見ながらやられたんじゃたまらないな」
「そうよ。私が馬鹿だったっていうだけ」
「馬鹿だったって言えば、子供が出来たらどうするんだ?」
「私達?」
「うん」
「どうしたらいい?」
「そりゃまあ、僕はいいんだけど」
「いいんだけどって?」
「やっぱり生物だから、死ぬまでに1匹くらい子孫を残したいと思うし」
「なあに、1匹って?」
「いや、だから1人」
「奥さんとは子供が出来なかったの?」
「出来なかった」
「作らなかったの?」
「いや、作ろうとしたけど出来なかった」
「そう。それじゃ私が子供を作って上げる。1匹と言わず何匹でも」
「人間の子供なんだからその言い方は無いだろう」
「厭ね。真似しただけなのに」
「出来たかな?」
「子供?」
「うん」
「今?」
「今しかやってないだろ。何度も言ったけど君が寝てる時は何もしていないよ」
「分かってるわよ。今は出来なかったわ」
「外れか。でも何で分かる? あっ、ヒットしたなとか何かそんな感じがあるのか?」
「ヒットするって何を?」
「いや、だから分からないけど、おっ、やったなって感じ」
「馬鹿ね。そんなの無いわ」
「だって今は出来なかったって言っただろ?」
「ああ、それはだってもう今日か明日かそれくらいに生理が来そうなんだもの」
「そういう時って妊娠しないのか?」
「何にも知らないのね。妊娠する時期って大体生理と生理の中間の1週間くらいなのよ。もうちょっと後ろにずれてるんだったかな。とにかく生理の直前は妊娠しないの」
「そういうもんか。そう言えば生理中は大丈夫とか言うな」
「そうよ。でもそれは生理が安定してる人の場合なんだけど」
「君は安定してるのか?」
「ええもうそれは100パーセント安定してる」
「それじゃ逆に言えば妊娠するのも時期を選べば確実だっていうことになるな」
「ええ。多分そうだと思う」
「そうか。一生子孫を残さないで消えて行くんだなって思ってたけど、とうとう子孫を残せるんだな」
「ええ。嬉しい?」
「それは嬉しいな。生物学的喜びだな」
「何それは?」
「つまり種族保存本能に基づく喜びって言うか」
「時々難しい言い方して人を煙に巻こうとしてると思ったけど単なる癖なのね」
「へ?」
「まあいいわ。ともかく喜んでくれてるんだから」
「でもまだ出来た訳じゃないからな」
「そうよ。出来るまでタイ人の時のように毎日やらないとね」
「あ、あれはだいぶ前のことだから」
「だから?」
「だから自制心なんか無い頃のことだから」
「馬鹿ね。私を相手に自制心なんか持つ必要はもう無いのよ」
「そうだった」
「それからさっきセックスしている最中に一生懸命首を曲げておっぱい吸っていたでしょう? あんなことする必要も無いのよ。そんな苦しい格好しなくてもいつでもおっぱいなんか吸わせて上げるんだから」
「おお、それは嬉しいな。それは母胎回帰の喜びだな」
「いいのよ。そんな難しい言い方しないで。ほら、いつでも口を開けて食いつきなさい」
「うん」
「おいしいでしょう?」
「うん」
「25才も年の差があるなんて思えないわね。可愛い顔しておっぱいに吸い付いて。いつまでもそうやって私のおっぱいに吸い付いていて頂戴ね」
「うん」
「母性本能を擽られるわ。母性回復の喜びね。それとも種族保存の喜びだったかしら」
「真似をするな」
「いいの、マスターは口を挟まないで。神様咥えてればいいの。私が1人で喋ってるんだから。私がマスターの真似をするのは当たり前でしょ。だってグストモグストコ、アヨモアヨコなんだから。ネ? いい言葉ね、これって」