悠子-18
「それじゃまるきりピンサロじゃないですか」
「失敬な。おっぱいと股間は、つまり肝心な部分は隠しているよ、ちゃんと」
「ピンサロだって初めからポロンって出して行ったりしませんよ」
「あのね。別にピンサロを馬鹿にする訳じゃないけど、ピンサロは結局おっぱい吸わせたりあそこに指突っ込ませたりするんだろ? 彼女は透けた服着ているってだけで、そういうことはさせないんだよ」
「それってやっぱりピンサロを馬鹿にしてるんじゃ無いんですか」
「別に馬鹿にしてないよ。それじゃまあ、まるきりピンサロと同じ格好して来たんだ」
「で、触ったんですか?」
「まさか。話をしたんだよ」
「どんな?」
「店が終わったら食事に行こうって」
「行ったんですか?」
「ああ。僕はそんなに金を持っていなかったから、一旦うちに帰って10万円持って又車で行った。それで店の裏の駐車場に車を止めて中で寝ていたんだ。店が終わるのは3時だからそれまで寝てようと思ったんだ」
「それで彼女は来たんですか?」
「来たよ。来たんだけど彼女だけでなくてゾロゾロ沢山女が来た」
「どうして?」
「みんな一緒に行くって言うんだ」
「それで一緒に行ったんですか?」
「ああ。5人乗りのブルーバードに6人も乗り込んで、運転してる僕を入れれば7人だよ。おいおい、何すんだよって呆気に取られてるうちに乗り込んで来ちゃったんだ」
「それでどうしたんですか?」
「ちょっとそんなに乗ったら困るよって言ってもノープロブレム、ノープロブレムって言うだけで、早く出せ、早く出せって女達に小突かれちゃってね。まあ、深夜だから大丈夫かなって走り出したさ」
「ファミレスに行ったんですか?」
「違う。フィリピン人相手の店があって、そこに行かされたんだ。レストランだけども服とか日本には無いような食料品とかフィリピン人が買いそうな物は何でも置いてあるんだ」
「折角2人でいいムードになろうとしたのに、そんなに大勢で来たんじゃ口説けなかったのね」
「いや。僕はその他大勢なんて相手にしてないし、気にもしないから口説いたよ」
「何て言って?」
「結婚してくれって」
「え? いきなり?」
「うん。だって話の要点は要するにそれなんだから」
「でも普通はいろんな話をして親しくなってから結婚してくれって言うもんじゃないの?」
「いや、此処でこのおっぱいを逃したら誰かにさらわれるって思って必死だったから」
「よっぽどおっぱいが気に入ったんですね」
「ああ、もう彼女見てると顎が痒くなってしょうが無いんだよ」
「顎が痒くなる? それってどういう意味ですか?」
「つまり、あのおっぱいさんを早く口に入れて頂戴よって顎が歯ぎしりしてんだ」
「グワッ。ナ、ナ、何ですか、それは」
「つまりそんな感じだな」
「どんな感じ?」
「グワッ、ナ、ナ、何なんだ、このおっぱいはって感じだよ」
「呆れた。おっぱい気違い」
「まあ、男だから」
「あのね・・・、まあ言っても無駄か。それで彼女は何と答えたの? 結婚してくれって言ったら」
「今日会ったばっかりでしょうって言うんだ」
「それはそうね。奥さんはまともだったのね」
「まあ、普通はそう答えるよな」
「それでどうしたの?」
「今日会ったばかりでも好きになったんだって」
「あんまり説得力無いわね」
「いやまあ、いろいろ言ったんだけどなかなか話が進まなくてね」
「それはそうよ。そんなの進みようが無いわ」
「違う。食べながらだろう? それに彼女は連れてきた他の女達とお喋りしてるだろう? 夢中になって喋ってるんだよ。食べたり喋ったり、その合間にちょっと振り向いて僕と会話する訳だから話がなかなか進まないんだ」
「要するに全然相手にされてなかったんじゃない」
「そういう見方も出来る」
「そういう見方しか出来ない」