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「そのチョコを食べ終わる頃には」
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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『第2章 その秘密の出来事は』-3

 遼は食べ終わった皿とカトラリーを台所に運んで、キッチンのシンクに置いた。
「あら、ありがとう。お行儀いいのね。家でもやってるの? 食事の後」
「はい。小さい頃から習慣に」
「そう。素晴らしいお母様ね。結婚しても奥さんに喜ばれるわよ」

 利恵が食器を片付け終わって、リビングに戻ってきた。
 遼はコーラのグラスを口に持っていきかけてすぐにテーブルに戻し、ふと口を開いた。
「そう言えば、ここ……」
「ん? どうしたの?」
「先生の家……なんですか?」
 利恵はにこにこ笑いながら首を振った。
「私の実家は県北の田舎なの。ここは今回の実習のために三週間だけ借りてるのよ」
「だからすっきりしてるんだ……」
 遼は部屋の中をぐるぐる見回した。
「うちの高校に通ってたんですか? 先生も」
「ううん。県北の高校」
「じゃあ、どうしてこの高校に?」
 利恵は僅かに目を泳がせ、少し焦ったように言った。
「ここには社会教育の権威がいらっしゃるでしょう?」
「え? 権威?」
「そう。この高校の校長先生は高校社会科のエキスパートなの。いくつか本も出されてる」
「へえ、知らなかった」
「だからその校長先生とお話がしたくてこの学校をわざわざ選んだのよ」
「そうか。先生って勉強熱心なんですね」
「まだ学生だからね」
 遼は今さらながら彼女が大学生で、将来教師になるためにここにいることを思い出していた。
 利恵はうふふと笑って遼のグラスにコーラを注ぎ足した。

「と、ところで、」遼はここに来てからずっと訊こうと思っていたことを口にした。「先生はどうして、僕をこの部屋に?」
「あのね、」
 利恵は二杯目のコーラを半分ほど飲んだ時、少し低い声で言った。
「秋月くんって、あたしのタイプなの」
「え? タイプ? タイプって?」
「今ドキの高校生はこの言葉使わないか」利恵は困ったように笑い、続けた。「好きなタイプ、見たり話したりしたくなる男性、ってこと」
「えっ?」
 遼はにわかに赤面した。
 利恵は遼のすぐ横に来て座り直した。
「秋月くんは私のこと、どう思ってるの?」
 遼は言葉を失い、思わず正座をして膝に置いた拳をぎゅっと握りしめた。
「学校でよく絡んでくるけど……」
「えっと……」
 利恵は遼の目をじっと見つめた。頬がほんのりと赤く染まっている。
「貴男が構わなければ……」
 利恵はじっと遼の目を見つめ、膝に置かれた彼の手を取り、両手で包み込むようにした。それからその手を自分の胸の膨らみにそっとあてがった。
 ぼっ、と顔から火が出たように、遼の全身が一気に熱を帯びた。
「あ、あの、先生……」
「秋月くんが好きになっちゃったみたいなの。私も……」

 床に延べられた布団の上で、どちらも下着姿の遼と利恵は寄り添って横になっていた。遼はそのままがちがちに固まっていて、落ち着かないように目をくるくると動かしていた。
「大丈夫よ、秋月くん。緊張しないで」
 利恵は遼の耳元でそう囁くと、裸の胸を手のひらでゆっくりとさすった。
 あの爽やかな香りが利恵の身体から漂ってきた。遼は思わず鼻をくんくんと鳴らした。
 利恵の手のひらはなめらかで温かいと遼は思った。自分の心臓の高鳴りがその手によって悟られるのが妙に恥ずかしかった。
「初めてなの?」
「は、はい……」遼は絞り出すような声で言った。
「私が教えてあげる。ほら、脱いじゃおう」
 利恵は身体を起こし、遼が身につけていた唯一のものをするするとその脚から抜き去った。
「私も脱ぐね」
 利恵はそう言って、ブラのホックを後ろ手に外し、躊躇うことなく穿いていた小さなショーツも脱ぎ去った。そうして部屋の隅にあったティッシュボックスを枕元に置いた。


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