公園のベンチで-1
「気持ちよかったね、由紀子」
「うん。でも私、すぐ眠っちゃたから、ちょっと損した気分よ」
「へえ、そうなんだ」
リフレクソロジーを終えた由紀子と江理花は、街をブラブラ歩き始めた。
火照った頬に、爽やかな風が心地よい。
「座ろうか」
ちょうど通りかかった公園に、江理花が誘った。
「そうね。なんだかちょっとお尻の辺りがヘンな感じがするし」
江理花が立ち止まり、心配そうに由紀子の顔を覗き込んだ。
「施術で痛くなったの?」
「うーん、痛いというのとは違うの。何というか……フワフワしてて温かい感じ」
「あ、それ分かるわ。私もちょっとキてるから」
「キてる?」
「さあ、行きましょ」
由紀子の疑問には答えずに、江理花はどんどん歩いていく。
陸上競技場のトラックのような楕円形の遊歩道に囲まれた芝生の公園。遊歩道の外側は木立になっていて、所々にベンチが置いてある。その一つに、二人は並んで座った。
「都会の真ん中にこんなに穏やかな公園が有るなんて、不思議な感じがするわ」
由紀子が呟いた。
「そうね。でも、知ってる? ここの地下って駐車場なんだよ」
「そうなの? 私運転しないから」
「緑の公園の下を駐車場にしちゃうなんて、自然の優しさと文明の合理性の融合みたいで、私は好きだなあ」
江理花の視線の先には、芝生の上で弁当を広げる親子連れや、フリスビーに興じる少年たち、そして身を寄せ合う恋人たちの姿があった。
「ちょうどいい季節だしね」
朝晩はまだ冷える日もあるが、太陽が昇ってしまえばポカポカと暖かい。
「ね、由紀子。お尻がどうとか言ってたけど?」
「あ、うん」
由紀子はモゾっと座り直した。
「何ていうか、ムズムズするの」
江理花の耳元でそう囁いた由紀子は、苦笑いを浮かべた。
「実は私もなの。あそこへ行った後はいつもそう。眠っちゃってる間に何かされてたりしてね」
「まさか。そんなことしたら、お店つぶれちゃうんじゃないの?」
「うふふ、そうね」
由紀子はもう一度座り直した。
「大丈夫? おかしなことになってないか見てあげようか?」
「な、何言ってるの。しかもこんな所で」
そう答えた由紀子の瞳の奥に妖しい色が流れたのを、江理花は見逃さなかった。
「まあねえ、スカートを捲って覗き込むわけにはいかないわよねえ。ていうか、私も、ちょっと……」
そう言いながら江理花は周囲に素早く視線を飛ばし、自分のスカートの中に右手を差し入れた」
「江理花! な、何してるのよ」
「しー。大きい声出さないでよ」
二人と芝生の間には植え込みがあるので、芝生に座っている人たちから江理花の危険な行為は見えないはずだ。もちろん、覗き込まれれば別だが。
「あ、やっぱりだ」
スカートの中の手をしばらくゴソゴソやっていた江理花が呟いた。
「凄いことになってるよ、私のここ」
「そ、そうなの?」
「由紀子も確かめてみたら?」
「わ、私は……え?」
躊躇う由紀子のスカートの中に、江理花の左手が侵入した。
由紀子はあまりにも突然のことに、何も反応できずにぼんやりしている。
江理花の手はかなり奥まで入り込んだ。
「え、江理花。こんな所でそんな所を触らないでよ」
「パンティの上からミゾをなぞってるだけじゃない。それとも、直接弄られたい?」
「イヤよ、やめてよ」
そう言いながら、由紀子は逃げようとも止めようともしない。
江理花の手がひときわ大きく動いた。
「うっ……」
由紀子が声を漏らした。
「そんな部分まで……」
「イヤ?」
「イヤ、っていうか、ダメでしょ」
「そう? 残念」
江理花の左手があっさりと由紀子のスカートの中から撤退した。しかし、彼女の右手はまだ自分のスカートの中で蠢いている。
「ごめん、私もうガマン出来ないわ」
江理花はスカートを捲り上げた。やや浅黒い引き締まった太腿と紫のパンティが、お昼前の公園の空気に曝された。
「ちょ、ちょっと、何してるのよ江理花」 由紀子は慌てて辺りをキョロキョロ見回した。
「じっとしてて。動くと余計に見つかりやすくなるから」
江理花は慣れた口調でそう言った。
「やめなさいってば」
由紀子の囁きを無視し、パンティの中央に出来たミゾに何度も指を往復させる江理花。そこは既にどっぷりと湿り気を帯びており、中身に張り付いて、その形が薄く浮かんでいる。
それを見ていた由紀子が太腿をモジモジさせ始めた。
「キてるんでしょ? ガマンしないであなたもしなさいな、由紀子」
「で、でも……」
「由紀子、思い出しなさい」
江理花は由紀子の目をじっと見つめた。
「いい匂いのする温かいオイルがあなたの谷間にたっぷりと注がれているの」
「何を言っているの?」
「ジーンと染み入る疼きにも似た鈍い快感にあなたの下腹部の奥深くが痺れ始める」
由紀子の頬が紅潮し始めた。
「あなたはそれを素直に受け入れ、息を荒くし、悦びの声を漏らしている」
「はあ……、はあ……」
由紀子の呼吸が乱れ始めた。
「さあ、好きにしていいのよ。さっきは最後まで行けなかったけど、今度はあなたの好きにしていいの」
由紀子の左手が、スカートの上から股間ををギューっと押さえつけた。必死に耐えているのだ、触りたくて堪らないという衝動に。「呼んでるでしょう? あなたの秘めやかな谷間が。応えたくてウズウズしてるでしょう? あなたの指先が」
気付けば由紀子は自分のスカートを捲り上げていた。
白く滑らかでむっちりとした太腿、淡い水色のパンティ。それらの全てを誰かに見られてしまうかもしれないなんていう考えは、もはや彼女には無かった。
とにかく触りたい、弄りたい、掻き回したい……それだけがグルグルと頭の中を駆け巡っていた。