HeartFull・Love-1
ここは、国立斜陽学園一年B組。私は今、ものすごぉぉぉく、悩んでいた。
「ね〜。里紗(りさ)〜!告るんか!?告らないんか!?ハッキリしな!」
なんか私に迫ってきてるのは、石舞瀬里奈(いしまいせりな)。 「う゛〜。あ゛〜…ちょっと静かにしてよ瀬里奈…。」
クラス中の男子の視線が…痛い…。
「早くしないと、暁(あかつき)君、他の女に取られちゃうよ?」
あ…。小声になってるし。
「ええい!!やってやろーじゃないの!」
視線が消えかかっていた男子の視線が復活する。しかもさっきより二割増し…。
「あんたが大声出しちゃダメっしょ…。ま、いいや!決心したんでしょう?それなら、善は急げだぁ!!」
「へ?きゃぁぁ!」
瀬里奈は私の腕を掴み、歩き出す。…痛いし。握力いくつなんですか?
「ちょ…ッ…!どこ行くのよぉ!」
「どこ行くの?って…暁君の所に決まってんじゃん♪♪さぁ!放課後に会う約束をするのだ!」
「……。」
諦めた。えぇ。諦めましたよ!!(泣)こうなった瀬里奈は止められない。顔が…輝いてる…。
「暁く〜ん!!お!居た居た♪♪」
「ん〜。どーした石舞〜?」
暁君こと、桜谷暁は、廊下で遊び仲間と喋っていた。ああぁ!後戻りなんて出来ませんよね…。
「里紗が話あるんだってよぉ。」
「なんだぁ?綾瀬?」
よーし!覚悟決めた!!がんばっ!私!ビバ!私!
「放課後…話ッ…あるから部活終わったら教室来てッッ!!」
よし!!言った!あとは逃げるだけだぁ!ダーッシュ!!
「あっ!ちょっと待て里紗ぁぁぁ!」
昼休み。
「ったく…。いつからそんな足速くなったんだよぉ…」
持参の弁当の卵焼きを頬張りながら、瀬里奈が尋ねる。
「無我夢中だったもんで……。それより暁君、なんて言ってた??」
「『ん〜。わかったぁ。』だってさ。」
「そう…よかった♪」
「まだ終わってないぞ!!里紗の勝負は放課後だぁぁ!!」
…うるさい。クラスの男子の視線がまた送られる。朝より5割増し…。
「……瀬里奈ぁ……?」
「ん〜。……ハッ!!ごめッッ!ごめんなさいぃぃぃ!」
私の殺気に気付いた瀬里奈は、一目散に逃げてった…卵焼き片手に…。
「やっと落ち着けたぁ…さて、放課後どうしましょうかねぇ…。」
そうこう考えてるうちに、昼休みも終了し、瀬里奈も帰って来た。
「…どこまで逃げたの瀬里奈??」
そう聞きたくなるほど、瀬里奈はボロボロだった。髪は乱れ、制服はホコリが付き、片手には卵焼きがない。
「体育館倉庫の1番奥に…隠れてました…。すいませんでした…。(泣」
かなり衰弱してる。許してやろう!!
「もういいよ。ただし!今度私に迷惑かけたら……分かっていますよねぇ…?」
満面の笑みで私は返した。
「ひゃい!!分かってます!!」
「じゃ、授業だし、席に戻ろう♪♪」
「……あれで、暁君は振り向いてくれるのか…?」
「…ん?なんか言ったかな?」
再び満面の笑みで返す。
「いえ。なんでもないです。さぁ、授業授業。」