Requiem〜前編〜-16
「・・・・セッツァー、私ね」
「セリス・・・・・?」
「エドガーと結婚してから数年経ったけど、これでも色々と経験して学ばせてもらったわ。昔は全く戦い以外のことに関心を持つ暇のない時代だったから気づかなかったことも含めて、ね・・・・・」
「・・・・・・・」
「墓参の道筋で、不謹慎かもしれないけど・・・・女として、男に対して抱いた気持ちには忠実になることも大事だということも学んでいるのよ・・・・・」
一瞬あっけにとられた彼の右腕の力が緩んだのを感じたセリスがクルリと上体の向きを変える。
鼻先が触れるか触れないかの至近距離で、
セリスは彼は互いに相手の顔をまじまじと見つめあう。
そして彼女自身スリップを身に付けているとはいえ、ブラジャーをつけていないセリスのやや固みのある乳房の先端がほぼ直接彼の胸板に擦り付けられることになった。
「・・・・・・」
「・・・・・・・」
ここでセリスは心が求めるままに自らの顔を近づけ、
爪先をやや上げるようにして自らのピンクの唇を相手のそれと重ねた。
本当に触れ合うだけの口づけ。
だがそれだけで、
目の前の彼の瞳に“欲望の炎”が宿ったのが分かる。例えそれが闇の中にあって直接確認できなくても。
恐らく自分自身も同じような炎が瞳に宿っているのだろうなとセリスは思った。
「・・・・・セリス」
今度はセッツァーが首を傾け、自らの唇でセリスのピンク色のそれを塞ぐ。彼の舌がセリスの唇を割ってきた時、
セリスも無意識に自らの舌で相手に応える。
これまでセリスが他の男達にしてきたように。
もっとも今夜に関しては、
やや趣が違っていたが。