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平日の相席
【同性愛♀ 官能小説】

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科学館で出会った彼女-1


  ━─━─━

 私、つき子。お家でやってる商売を手伝ってる。
 秋のはじめ、平日にお休みが巡ってきたから、プラネタリウムのある科学館に行こうと思った。

 平日の午前中だから、ゆっくりプラネタリウムが見られると思ってた。
 甘かった。
 科学館には、小学三年生の子どもたちが団体で見学に来ていて、すごいにぎわいだった。
 しかも、一度目のプラネタリウムの投影は その子たちに向けた「学習プログラム」だと言う。
 だけど「一般のかたもご覧いただけますよ。」と館員さんが言う。面白そうだから見ることにした。

 プラネタリウム開始少し前に、ドームの中に入った。
 「一般の方はこちらです。」と案内されたところに行くと、設けられた空席の中に一人で女の子が座ってた。

 あんまり周りの座席がぎっしりふさがっているから、一人で座るのが頼りなくて、私は彼女に「相席よろしいですか?」と聞いた。
 「ええ、どうぞ。」と言ってくれた彼女の隣に座った。

 ドームの中には、ピアノに編曲されたアニソンが流れてる。意外とたくさんの子どもたちは静かだ。
 「……みんなおとなしいんですね。」私が隣の彼女にささやくと、
 「……ほら、先生が所々に立ってるでしょ。あの先生がたが変な動きしてる子を見つけると、黙ってイエローカードとか出すんですよ。」

 そうささやく彼女を観察してみた。薄暗いドームの中で遠目に女の子に見えたけど、こうして見ると もう成人はしてるようだ。短めの髪といい、目立たない装いといい、話し方といい、何か私と同じ波長を感じる。

 (平日にプラネタリウム見にくるような女は、どことなく似てるのね……)

 プラネタリウムが始まった。学習のテーマは「月の満ち欠け」だった。
 星に満たされた空の中に、まぶしく輝く太陽が現れた。
 その太陽の東側に、細い細い月が現れる。
 太陽は少しずつ西へ動いていく。
 月は太陽から少しずつ東側へ離れるにつれて、三日月に、上弦の月に形をかえ、やがて太陽が西の地平線に達すると 月は東の地平線で満月になった。

 ここで星空が大きく動いて、月が西の地平線に 太陽が東の地平線に移る。
 月が東側の太陽の方に動くにつれて、月は下弦を迎え やがて「ありあけの月」なんて言う、朝の三日月になっていった。

 まるで宇宙のど真ん中で、ひと月を過ごしたような月の満ち欠け。
 (星空の中で太陽が輝く光景ってシュールだな……)
 私は初めて見るその演出にハマっていた。

 でも、私はその光景を見ながら気になる事があった。
 隣に座るあの彼女が、ずっと私の胸に手を置いて星空を見つめてたんだ。

 たぶん 彼女もこの演出に夢中になって、無意識のうちに私の胸に手を伸ばしたんだと思う。
 それにしては彼女のその手の親指は、かなり的確に私の乳首をクリクリと攻めていたんだ。

 「さあ、みなさん。おしまいに……」解説の声が響いた。「いっしょに、お月さまをうたった歌を歌いましょう!」

 ドームに、アニメ風のキャラクターを使ったカラオケ「萌えカラ」の画像が映し出された。
 静けさを強いられてた子どもたちが、解かれたようにドームに声を響かせた。

 あめふり おつきさん くものかげ
 およめに ゆくときゃ だれとゆく……

 
 


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