キョウゴ-4
「マジっすか！！！」
それまでひたすら黙って煙草をふかしていた栄祐が口をはさんだ。
『あぁ、いわゆる遺書ってヤツだったんだ。』
栄祐は口を開け、必死に涙を堪えるような顔をしていた。
『オイオイ、大丈夫か？！』
「すんません、そんな大事な話だと思ってなくて。軽く聞いちゃって…。」
栄祐は机に額をつけて謝った。
『良いさ、気にすんな！』
その後俺は麻取を通して藍の地元の県警に働きかけ、県警は藍を脅迫していた田舎ヤクザを徹底的に排除した。
「俺、ちょうどその頃の恭吾さんの事覚えてます。すっげぇ冷たい感じで、恐い人って思ってました。」
『あぁ、だが次第に藍の最後の想いの事を俺なりに理解出来るようになったんだ。そしたらこう思える様になった。藍の願った様に、藍の知っている俺のままで生きて行こうってな。それに藍は俺よりずっと強かったんだ。藍は家族を守るために必死に闘ったんだ。そんな藍の想いを無駄にする訳にはいかない。』
俺は言った。
藍が逝った後、藍を救えなかった自分の非力さを責める様に俺は心を凍てつかせて仕事に打ち込んだ。
しかし、それは藍の望んでいた事とは逆なんだと気付く事が出来た。
それは栄祐が、１人の女性を追い続けるひた向きさに触れた事で、藍と共に過ごした日々を、ひたすら藍を愛した日々を思い出す事が出来たからかも知れない。
俺はこれからも藍を忘れない。
藍の生きたたくさんの証は、俺の中にあるのだから。
藍、俺は強くなるよ。